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【働くキョウタナビト】株式会社オプト・システム 代表取締役社長 大竹政則さんと 課長 遠藤則子さん

[2023年3月9日]

ID:90

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最近、さまざまなデジタル技術の進歩と共に企業のビジネスモデルや私達の生活も大きく変化しています。いろいろなニーズに合わせて進化し続けるスマートフォン等のデジタル機器や身近な生活で使用する電化製品をはじめ、電気を使う製品には、いろいろな種類の半導体が使われています。半導体の多くは、精密機械に利用されるため、高いレベルでの精度や耐久性が求められます。その半導体が完成するまでにはいろいろな過程があり、その過程に応じた加工機や検査装置等があるからこそ、さまざまな半導体の製品化が実現しているのです。京田辺市三山木にある株式会社オプト・システムでは、その技術力と対応力の高さを活かして、お客様のさまざまな要望に合わせて、半導体の材料である化合物ウエハ(※)をチップ状に加工する装置や加工後の測定及び検査に関する各種装置の設計開発から製造、販売、アフターサービスまで事業展開をされています。

(※)化合物ウエハ:ガリウムやリンが使われている極めて薄い円盤状の板

株式会社オプト・システム 代表取締役社長 大竹政則さん(左)と課長 遠藤則子さん(右)

株式会社オプト・システム 代表取締役社長 大竹政則さんと課長 遠藤則子さんにお話をお伺いしました。

事業をはじめられた経緯と概要を教えてください。

社長:

1980年11月に先代の父がLEDの検査装置の製造販売を始め、創業当時は、インジケーターや看板等に使われるようになってきたLEDの検査装置を生産して、そこから派生してレーザーダイオードやパワー半導体関連の装置を作るようになってきました。そして、2015年4月に私が社長に就任しまして、現在は事業全体ではレーザーダイオードとパワー半導体関連が各4割で、LED関連は2割くらいの取扱いになっています。当社では、その半導体を製品化するための測定や検査の装置、チップに加工する装置をお客様のさまざまな要望に応じてカスタムメイドすることを最大限に心がけて、オンリーワンを目指した設計から製品作りやアフターサービス等を展開しております。



レーザーダイオードの特性を検査して、良品となったチップに傷や汚れなどがないかの検査も全自動で行える装置
装置内部のメカ機構です。数字が書いてある部分はコレットといい、この装置の場合は4つあります。この機構が回転し、それぞれがチップを1つずつ運びます。 照明の色は検査するチップによって異なり、青や白、赤など一番見えやすくなるものを選定

(写真:左)レーザーダイオードの特性を検査して、良品となったチップに傷や汚れなどがないかの検査も全自動で行える装置です。

(写真:右)装置内部のメカ機構です。数字が書いてある部分はコレットといい、この装置の場合は4つあります。この機構が回転し、それぞれがチップを1つずつ運びます。照明の色は検査するチップによって異なり、青や白、赤など一番見えやすくなるものを選定します。

どのような事業展開をされていますか。

社長:

入社当時は奈良でしたが、2000年に事業拡大のため、京田辺市に本社と工場を移転し、今では、京都府与謝野町、山形市、新潟県十日町市に工場を置いて検査装置等の国内生産をしています。国内をはじめ、台湾、韓国、中国、アメリカ、ドイツ等海外でも営業活動をしており、現在は、事業全体の4割から5割が、輸出品の製造となっています。

お二人の入社のきっかけとその当時の仕事内容を教えてください。

社長:

父の創業した会社を手伝いたいという思いがあったので、修行という気持ちで大手メーカーで5年間、国内営業と海外営業を経験しました。当時、当社は国内営業専門だったのですが、先代の父から海外営業の展開で製品の輸出の話もあったので、イギリスに一年間、経営学を学ぶために留学をしてMBA(経営学修士)を取得し、入社しました。

入社当初は、国内営業をメインにしながら、輸出の仕事は台湾や韓国を手はじめに、中国、アメリカやヨーロッパへの事業拡大にも力を入れ、創業当時からお付き合いのある関係先はもちろん、新規開拓先へもプレゼンを通して、受注を増やしてまいりました。

課長:

私は、工業系の高校出身で卒業後の就職先を考えて、いろいろな企業説明会に参加したのですが、ものづくりを一から全て完結させている当社を知り、自分のものづくりに対する熱い思いが成就する可能性が広がるとの確信を強く抱き入社しました。また、当時の面接で、緊張する私に、女性社員の方々をはじめ、皆がとても明るく接してくれたことで、大変、安心感を持ったことを覚えています。入社当時からですが、自主的に新しいスキルを身につけて仕事に活かしていくことや自分の提案が装置開発に繋がる等、大きなやりがいを常に感じています。私は高卒で女性ですが、これまでの実力を評価されて課長に昇進したことも大変、仕事でのやりがいに繋がっています。

御社のものづくりについて教えてください。

社長:

創業以来続けている「カスタムメイド」という理念のもとに お客様に一番フィットする形の装置を作っています。まず、営業のスタッフがお客様の要望を聞き出した後、設計のスタッフが要望にあった装置の設計をして、その設計した部品や選定した機器を社外の各専門業者へ発注して納入された部品や機器を製造のスタッフがメインに組み立てます。そして、最終的に技術のスタッフが装置を動かすソフトウェアをインストールして、テストした後、お客様の立会い確認の後、当社の技術者が納品時に使い方についてご説明し、一つの仕事が完了します。そのため、お客様に同じ装置を納めることはあっても、その装置を別のお客様に、納めることはありません。お客様に納品しているのは全てオンリーワンの装置です。

われわれは小さい会社なので、大きな会社と競争しても技術力面、生産能力や価格とかでも太刀打ちできないので大手の半導体装置メーカーでは取り組まないカスタムメイドの装置を1台の注文から対応しております。装置自身とそれを元に作る半導体は先端技術の製品ですが、装置を完成するまでは全部、手作りです。当然、いろんな計測の工具やCADは時代に応じた良い道具やシステムを使うのですが、一番必要なのは製造しやすいスペースと社員の資質となります。小さい会社なので、長く働いてもらっていくことで、従業員一人一人の得意な分野のスキルを磨いていき、その総合力を会社の強みにしたものづくりをしております。例えば、大きい装置でも6人くらいで製作することもありますが、少数精鋭がいろいろな技術を駆使することで、複数台を一人で担当することもあります。

装置の設計を行っています。製造工程の始まりの部門です。 お客様と打合せした結果に基づき、決められた装置サイズ内で仕様を満たせるように 装置を設計

装置の設計を行っています。製造工程の始まりの部門です。
お客様と打合せした結果に基づき、決められた装置サイズ内で仕様を満たせるように
装置を設計していきます。

設計が完了し、部品が全て入荷したら製造部門が装置を組み立てていきます。 1つ1つの部品を人の手で組み立て
設計完了した装置の部品を組立てる作業場

設計が完了し、部品が全て入荷したら製造部門が装置を組み立てていきます。

1つ1つの部品を人の手で組み立てます。                        

装置を動かすためには動力が必要です。電気配線作業も人の手で行います。

装置を動かすためには動力が必要です。電気配線作業も人の手で行っていきます。

電気が通っただけでは装置は動きません。装置を動かすためのソフト開発は装置の設計とともに始まり、電気配線が完了したら装置にインストールしてデバッグを行います。
写真:左と右
電気が通っただけでは装置は動きません。装置を動かすためのソフト開発は装置の設計とともに始まり、電気配線が完了したら装置にインストールしてデバッグを行います。
装置が完成したらお客様に完成状態の確認していただきます。最近は写真のように、オンラインでの確認が増えました。完成状態の確認を「立会い」と呼んでおり、この結果が問題なければ装置を出荷できます。

装置が完成したらお客様に完成状態を確認して頂きます。最近は写真のように、オンラインでの確認が増えました。完成状態の確認を「立会い」と呼んでおり、この結果が問題なければ装置を出荷できます。

装置はどのくらいの数の部品を使って組立てられるのですか。

社長:

装置にもよりますが、大きい装置だと1万点以上の部品を使って組立てます。かなりたくさんの種類や数になるため、資材部門でユニットごとに仕分け作業をしますが、間接部門は少人数のため、繁忙期には営業部やその他の間接部門の社員も一丸となって、仕分け作業をすることもあります。そのため、全社員が当社の技術的な内容を共有しております。

部品はユニットごとにケースに入れて管理されています。
それらの部品(左の写真)を組み合わせてユニットを完成させていきます。(右の写真) 半導体は非常に小さいため、装置としてミクロン単位での精度が要求されます。そのため、ユニットを組み立てる段階でも、ミクロン単位での精度が必要となりますが、それらは全て 人の手で組み上げます。

(写真:左)部品はユニットごとにケースに入れて管理されています。

(写真:右)それらの部品を組み合わせてユニットを完成させていきます。半導体は非常に小さいため、装置としてミクロン単位での精度が要求されます。そのため、ユニットを組み立てる段階でも、ミクロン単位での精度が必要となりますが、それらは全て人の手で組み上げていきます。

装置はどのような工程や期間で生産されるのですか。

社長:

最初は、お客様の製品開発用に装置を一台、作るのですが、その開発用試作品が上手く完成できるように、それを測定や検査する装置を共同で開発します。そして、その試作品が製品化され、市場に出回ることで、当社も必要な台数の装置を生産することになります。

例えば、昨年は、1台の装置を完成してから、同じ装置30台の注文がありました。

設計開発から納入までの期間は新規開発製品であれば、部品の調達状況にもよりますが、最短で5ヶ月から1年半くらいかけて作ります。量産の時は設計開発の部分がなくなりますが、8ヶ月くらいはかかります。

御社の人材教育とその成果について教えてください。

課長:

基本的にはオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)です。

まずは1ヶ月間の新入社員教育を行い、そこで学生時代と社会人としての違いや最低限の常識を身に付け、その後、入社前に希望していた部署へ配属されます。

配属後は、先輩と一緒に仕事をすることで技術を身につけていき、どんどん高度になる仕事内容やお客様の要望に柔軟に対応できるようにしております。

仕事を続けていく中で、より自分に合った部門が見つかった場合は、転属することも可能です。社員のやりがいを優先させることが、結果的により良い成果を生むことに繋がります。

その効果もあって、一人一人の能力が向上・蓄積されるとともに、長期雇用に繋がっています。カスタムメイドで対応してきた技術の蓄積が、当社の創業時からの強みです。

(※)OJT:日常の業務を通じて、上司や先輩が部下や後輩に対し、仕事に必要な知識や技能等を習得させる実践的かつ効果的な研修手法

御社のものづくりを通じた一番の喜びは、何ですか。

社長:

やはりお客様からの評価です。お客様が我々の装置を使って製品を生産して、成功されていくのが一番の喜びです。そして、お客様の要望で作ったオンリーワンの装置が使われて完成したお客様の製品が世界中で、使われていくというところに大変、喜びを感じます。

 

従業員の採用についてはどのようにお考えでしょうか。

課長:

従業員については、現在、18才から70代までの社員、総勢130名が在籍していますが、働くとなると50年、60年となるので、社員一人一人が安心して働き続けられる企業にしていきたいと考えております。採用に関しては、一環として地元の学校と連携した採用活動を積極的に行い続け、一方では、海外からの留学生をはじめ、オンラインでの採用活動等も含めやる気のある優秀な人材を募集していきたいと考えています。

最後に事業で大事にされていることと今後の事業展開や抱負をお願いします。

社長:

現在、国内外合わせて、100社ぐらいのお客様と顧客重視の姿勢で、お客様の要望に合わせた取引をしています。同じ装置でも、機能面でより早く、より正確にという要望も増えているため、どんどんグレードアップした付加価値の高い装置となり、高額な取引につながって、今期は絶好調で過去最高益ですが、来期は、世界情勢の影響もあり、半導体業界全体が、少し厳しくなると予想されています。常に、会社の発展と成長を考えて、売上よりも利益の追求や働く従業員の職場環境を整備することを重視していき、今後も社員一人一人が安心してずっと働いてもらえる会社に少しずつ近づき、安定成長を目指していきます。

今後は、10年前あたりから日本の半導体産業が伸び悩んでいることから、国内の新規のお客様を開拓するより、アメリカやドイツ、中国でのレーザーの展示会への出展を考えていて、情報収集やコンタクトを取りたいと考えています。

インタビューを終えて

大竹社長と遠藤課長のお二人からのお話で、共通して、おっしゃられたことは創業時から「カスタムメイド」という理念を全社員一丸となって持ち、お客様の要望に合ったオンリーワンの製品を作られているということでした。また、印象的だったのは、従業員一人一人が長く勤めていけるように、一人一人のやる気を大事にする事でより高度な技術も身につき、会社の総力となって、お客様のさまざまな要望にもフレキシブルに対応できるというお話でした。

現在も、海外営業担当をされている社長の夢は、どんどん新しい国を開拓して、京田辺で自分たちが手作りをしているいろんな装置が国内のみならず、全世界で使われていくことだそうです。

これからも、従業員のみなさんと共に、お客様にとってのオンリーワンのものづくりに専念されて社長の夢が実現されますことを期待しております。

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