ページの先頭です

【働くキョウタナビト】株式会社ヒロミツ製作所 代表取締役社長 有友廣充さん

[2022年2月10日]

ID:79

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

私たちの暮らしで利用する車には、さまざな素材が使われており、特に、金属の部品がたくさん使われています。金属は樹脂やプラスチックと比べ、強度や耐熱温度が高い等の特質がありますが、硬度や腐食等の点で加工が難しいので、さまざまな加工技術を必要とします。その金属加工技術の中に鈑金加工があります。

京田辺市大住にある株式会社ヒロミツ製作所では、創業当初から引き継がれてきた熟練の技術をもつ人の手と最新の機械設備を駆使する技術を融合して、鈑金加工をしています。そして、この高度な技術で、自動車や農機の大手メーカーが世に出る前の試作車を作るのに必要な試作部品を一から作る、新車両の開発に欠かすことのできない会社です。


代表取締役社長 有友廣充さん

株式会社ヒロミツ製作所 代表取締役社長 有友廣充さんにお話をお伺いしました。

事業を始められたきっかけと会社を継がれた経緯を教えてください。

祖父が、大阪で鈑金屋をはじめ、10代の頃から祖父のもとで鈑金を習い、一緒に仕事を始めた父が、1962年に「有友鈑金」として会社を設立したのが、事業のはじまりです。当初は、バスの試作部品を作っていましたが時代の流れで、車の試作部品の鈑金加工へと徐々にシフトしていきました。まだ、その頃は自社工場がなかったので、当時の従業員20名は、ステンレスを扱う会社等、いろんな会社へ出向いて、鈑金の仕事をしていました。1982年、父が京田辺市に工場を建てたのをきっかけに、私は、大学卒業後、約3年勤めた製薬会社を辞めて、子供の頃から好きだったこの鈑金の仕事を始め、後を継ぐことになりました。


御社のものづくりについて教えてください。

20年くらい前までは自動車メーカー自身が社内で試作のほとんどを行っていたため、その一部の金型をもらい、手作業でその加工をするだけでしたが、コンピュータ化や機械化の時代になり、試作部品を全部、私たちのような会社で作るようになりました。そのため、手作業でしていたことを機械設備の導入や図面をCADで作成するなどの対応が必要となりました。そこで、当社は、1987年、関西で初めて、金属板等を立体的に加工できる3Dレーザー加工機をいち早く導入し、最新加工技術と熟練の職人の技術を融合して、スピーディーな対応と確かな品質で、長年お付き合いのある大手自動車メーカーから高い信頼を得て、同社の試作部品を作り続けることができています。また、5年くらい前の展示会出展をきっかけに大手の農機メーカーからも信頼を得て試作部品の依頼をいただくようになりました。

一台の試作車の鈑金部品は約1万点あり、自動車メーカーが、その部品を各鈑金業者へ依頼して、できた各部品を自動車メーカーで組立て一つの試作車にします。その中でも、特に強度や安全性を求められる一番難易度の高い部品を当社は作っています。



3D CADでデータ作成をする様子の画像

3D CADでデータ作成

3Dレーザー加工機で作業する様子の画像

3Dレーザー加工機

手作業での仕上げをする様子の画像

手作業での仕上げ

どのような生産体制で製品を作られていますか。

当社では、試作部品を製造するまでのすべての工程を12の作業工程に分けて社内で一環生産できる体制にしています。こうすることで、取引先へ短納期で低コスト、高品質な部品を提供できています。また、従業員の誰もが、どの工程でも作業できるように多能工化しています。各工程の作業手順を書いたファイルを作成して、どの作業も誰もが取り組める環境を作っています。例えば、作業工程でミスがあった場合、即時、そのミスをした作業単位ではなく、全従業員を集め、全ての流れを止めて、問題の情報共有と解決の対応を話し合います。これにより、作業の精度や生産性の向上効果につなげて、ミスのない完成品を納品することができ、取引先との信頼度もアップし商談もスムーズに対応が可能となっています。


製品を作られる上で大事にされていることは、何ですか。

「手を抜かない」を一番大事にしています。楽はしてもいいけど、手を抜くのとは違うということを、従業員一人一人が考えて理解してもらうように徹底しています。そのため、従業員教育はミーティングを重視しています。そして、従業員の士気を高めるため、業績による利益の分配、仕事の合間のおやつタイムや社内のレクリエーション活動等を大事にしています。

また、協力会社が2つあり、当社の従業員と同じように、一緒に製品作りをしてもらっていますが、これは、協力会社の考えが違うとグループとしてやっていけないためで、協力会社の従業員が、当社で一緒に仕事をし、また研修を受け、考え方を一緒に学んで会社に戻り、継承して運営してもらうことを繰り返しています。このように当社の協力会社にも高い意識で取り組んでいただいています。


最後に今後の事業展開や抱負をお願いします。

「2030年には、軽自動車は、全て電気自動車にする」という目標を自動車メーカーが宣言したように、今後のハイブリッド車や電気自動車への移行にあわせて、その試作車がどんどん増えていくと思われます。今後、50年くらいは、試作車の需要は増える見込みなので、次の世代へは、今までの技術や手順を大事にした上で、ヒロミツイズムに磨きをかけ、より良い生産体制で取り組むように伝えています。

また、10年前に、タイに進出し東南アジアの拠点と位置づけ、今年6月にはレンタル工場から3.000坪の自社工場も建設完成し、将来に向けた準備をしています。そして、段々、技術力がついてきたので、今後、海外の新車の需要が高まれば、その試作車の需要もあるので、海外拠点でも、国内同様の対応で、製作できる体制が取れると考えています。

従業員は、現在、27名です。今後も、30名くらいを適数に仕事をしていきたいと考えています。それは、自分の目が行き届く範囲の人数でもあり、急な仕事等の対応もできる人数だからです。当社の現場は、プレスも溶接も組み付けも、腕も磨かないといけないので、一人前になるには、15年はかかります。

そのため、採用では、ものづくりが好きであることを前提に、当社の現場をみていただき、インターンシップ等の作業体験等をしていただいた方を希望しています。

今後も、祖父の起業した鈑金屋の歴史を閉ざすことなく、「手を抜かない」を一番に、国内外問わず、業務に邁進してまいりたいと考えています。


ヒロミツ.テクノアート.タイランドのみなさんの画像

ヒロミツ.テクノアート.タイランドのみなさん

インタビューを終えて

有友社長のお話から、創業当時から取引のある自動車や農機のメーカー、協力会社とのつながりを大切に、従業員が一丸となって、試作部品を作り続けられていることをお伺いできました。また、仕事をしていて、一番、うれしいことをお尋ねしたところ、「ここぞと言うときに全従業員、みんなが力を出してくれることがうれしい。世界一、負けないくらいの馬力を出してくれるのが一番うれしい。」と満面の笑みでお話してくださいました。

これからも、私たちが安心して車に乗れますよう、試作車の開発とその試作部品を作り続けていただけることを期待しております。

株式会社ヒロミツ製作所 (別ウインドウで開く)



お問い合わせ

京田辺市役所経済環境部産業振興課

電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

ファックス: 0774-64-1359

電話番号のかけ間違いにご注意ください!

お問い合わせメール


ページの先頭へ戻る

Copyright (C) Kyotanabe city All Rights Reserved.