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【働くキョウタナビト】株式会社ロマンスファクトリー田辺 代表取締役社長 石原 信弘さん

[2023年6月1日]

ID:93

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睡眠に悩みを持っている人は多いのではないでしょうか。快適な眠りや睡眠の質を高める「スリープセレモニー」が注目を集めています。眠る前に決まった行動をすることで、体と心をリラックスさせて良質な睡眠へと導いてくれる効果があるとされています。眠る前にパジャマに着替える行動もその一つです。そんなパジャマを京田辺市草内にある株式会社ロマンスファクトリー田辺では、親会社である株式会社ロマンス小杉と共に取引先の要望に合わせてデザインから製品に至るまでを熟練工の手によって一貫生産されています。そして、何よりも着心地を一番大事に考えて、体への締め付けの負担の少ない肌触りの良い生地を使い寝付きが良くなるような機能性や保温性、伸縮性等にこだわりを持ち作り続けられています。

株式会社ロマンスファクトリー田辺 代表取締役社長 石原 信弘さん

株式会社ロマンスファクトリー田辺 代表取締役社長 石原 信弘さんにお話をお伺いしました。

事業をはじめられた経緯と入社のきっかけを教えてください。

1961年に私の祖父が蚊帳や寝間着、ガウン等を縫製加工する田辺寝具工業株式会社を田辺小学校の近くで、創業しました。先代の母は、デザイナーで、デパートにショップを展開していたことや父の関係もあり、パジャマのデザインをはじめとした縫製加工(ナイティー)の事業をこの大手寝具メーカーからいただいたのを機に事業を続けてきました。創業当時は40名ほどの従業員に来ていただいていたのですが、工場と倉庫の拡大が必要になり、1992年11月に現在の場所へ移転と同時に母が代表取締役となったのをきっかけに、社名を株式会社ロマンスファクトリー田辺に変更しました。私は他の会社で営業関係の仕事をしていたのですが、妻とともに入社し、2001年に代表取締役となりました。


どのように事業承継されたのですか。

母から、私と妻が事業全般を引き継ぎました。元々、母はデザイン学校で教室等の運営もしていたので、その当時の講師の方々のご協力で、特に縫製加工全般に関しては、技術的なことをより深く丁寧に教えていただくことができました。そのおかげでお客様の要望に合うパジャマのデザインを考えてその型を作り、製造工程の中でも一番大本になる生地を型通りに裁断する役割もスムーズに妻が引き継ぐことができました。

御社のものづくりとその過程を教えてください。

当社の製造部門は、デザイン、裁断、縫製、仕上げの4部門に分かれています。お客様のいろいろな要望に合う着心地を一番に考えたデザインを作り、その型で各パジャマのベースになる反物の生地を裁断して、縫製、検品の工程を経てお客様に納品します。パジャマの上下の型紙は大体8枚ありますが、同じデザインでも、サイズ別の型も作ります。従業員は8名で、6名は勤続30年以上の熟練工です。特に最新鋭の機械を使うのではなく、工業用の裁断機や10種類のミシン、アイロンを使っての手作業です。基本的に担当制で作業をして、人手が足りないときは助け合う形で、従業員全員が、一丸となって細心の注意を払い製造に取り組んでいます。また、当社は縫製の部分だけを家で内職として作業していただく家庭内職の方も多く、それを回収し、工場内で仕上げと検品をするものもあります。ただし、受注量が多いときの縫製は、各協力工場に依頼することもあります。パジャマの生地は基本的に依頼先からの支給になります。

パジャマの生地の写真
裁断場の写真
型と裁断後の生地の写真
左:パジャマの生地、中央: 裁断場、右:型と裁断後の生地

様々な型と裁断後の生地の写真
ミシンの写真
仕上げアイロンの写真
左:様々な型と裁断後の生地、中央:ミシン、右:仕上げアイロン

お客様との取引や発注数はどのようなものですか。

全国的に縫製加工会社が減少していることもあり、様々な注文や問い合わせをいただいております。発注数量は、一度に100枚~300枚の時もあれば1000枚~2000枚の時もありますが、1ヶ月平均1500枚~2000枚くらいの生産になります。昨年は大手通販会社からの依頼で8000枚の大口受注があり、当社の通常の生産規模を上回るような場合は、各協力工場に協力を求めます。

 

どのシーズンの受注や種類が多くありますか。

冬物が多いですね。そのため、冬に向かって生産量は多くなります。

ほとんどの受注は、レディース用でお客様からの要望に応じるため、デザインも豊富にあります。

着心地のいい生地は大抵の場合、縫製しにくい生地ですがお客様の要望に対して様々な生地の提案を考え、要望通りのパターンをどう作っていき、どう寄り添わせていくかが今一番の仕事です。

一押しの和晒二重ガーゼパジャマ、右側と、ヒートコットンニットパジャマ、左側

一押しの和晒二重(わざらしにじゅう)ガーゼパジャマ(右)と、ヒートコットンニットパジャマ(左)

パジャマを作る上で大事にされていることは何でしょうか。

従業員みんなが、気持ち良く働ける職場作りと着心地を一番大事にしたパジャマ作りをモットーにしています。

着心地の良さを一番求めているため、その着やすさ、デザイン、機能性等を考慮してお客様の要望通りに完成できるようにこだわり、型を作り、丁寧に仕上げています。特に縫製は、どのくらいの距離に対してミシン目がどのくらい必要か等のお客様から決められている品質の各項目基準を満たす必要と厳格な検査を行っているので、縫製に大変自信があります。着心地を実感するのは着ることでしか感じられませんが、着ていただくことで、より一層納得していただいております。

ボタンホール開けのミシン作業の写真
インターロックの写真
ボタン付けミシンの写真
左:ボタンホール開けのミシン作業、中央:インターロック、右:ボタン付けミシン

縫製加工業の課題や取り組みについて教えてください。

私がこの仕事を始める30年以上前から、海外の安価な縫製加工品の輸入が増えてきたことで、パジャマを含む国内の縫製加工製品や国内の縫製加工に携わっている人の働く場がなくなってきて、縫製加工業はどんどん廃れてきました。これに歯止めをかける為には、より高品質な製品作りに努めることのできる場所や人材を供給していくことが、必要だと考えています。

また、新たな取り組みの一環として、以前は、パジャマの型取りの裁断後に出る大量のハギレを廃棄していましたが、現在、当社の敷地内や「シゴトニア☆京田辺」(※)で当社の紹介展示の際にこのハギレを地域の方々へ無償で配布して掃除やいろんなものに再利用していただいております。環境への配慮もでき、何よりも縫製加工業を身近に知っていただき、興味を持っていただくきっかけ作りにも繋がっているので、どんどん、このハギレの有効活用も進めていきたいと考えています。

令和4年11月5日シゴトニアの展示の様子の写真

令和4年11月5日シゴトニアの展示の様子

 (※) 「シゴトニア☆京田辺」:「京田辺のシゴト」に焦点を当て、京田辺市に縁のある様々な企業・団体と市民が交流できる場作りと参加企業・団体の活動を市民に広くPRして企業の販路拡大や長期的な人材確保の貢献を目的にしたイベント(令和4年度は令和4年11月5日に市役所コミュニティーホールで開催)

最後に今後の事業展開や抱負をお願いします。

引き続き、お客様の様々な要望に応じて着心地を大事にしたパジャマ作りに取り組んでいきたいと考えております。

最近はコロナの影響もあり中止しておりましたが、年2回アウトレット商品の販売をすることで当社をもっと知っていただく機会を作っていきたいと考えています。直接、消費者の方からのご意見をうかがうことで知ることも多く、お褒めの言葉や喜びの声をいただくことも多くあり、従業員一同の作り甲斐や喜びに繋がり、ものづくりへの大きな原動力となっております。従業員の採用は、専門的な知識は問わずに、縫製に興味を持つ意欲的な方を今後も状況に応じて、ハローワークを通じて採用したいと考えています。

また、若い世代の方々にも縫製加工に興味を持ってそのような職場で働きたいと考えていただけるようなきっかけ作りを発信していきたいと考えております。例えば、安全確保の問題があり、難しい面もありますが、小さい子供達に、簡易のミシンを使うことで布を縫う楽しさを実感して興味を持っていただきたけるような体験会を実現したいと考えております。

 

 

インタビューを終えて

石原社長は、従業員のみんなが心地良く働ける職場であり続けることを一番大事にされて、仕事以外でも、孫の服やいろいろな縫い物を楽しんでされている従業員さんの様子を見られるのが何よりもの喜びだそうです。そのお気持ちが従業員一丸となった着心地を一番に考え続けるパジャマ作りに繋がっているように感じました。今後も、引き続き国内製造のパジャマ作りに取り組んでいただき、国内の縫製加工業を守るためにも、小さい子供達の体験会等の実現をしていただけるよう期待しております。

お問い合わせ

京田辺市役所経済環境部産業振興課

電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

ファックス: 0774-64-1359

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