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【働くキョウタナビト】有限会社岩本製作所 代表取締役 岩本 俊樹さん

[2022年6月21日]

ID:82

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暗がりや、電気のない真っ暗な場所で不安なとき、光っている物があると、ほっと安心しませんか。暗闇を照らしてくれる光は、私たちの身の安全を守る誘導や道路での事故や犯罪防止になる等、いろいろな役目をしてくれます。それを形にしているものに蓄光商品があります。

京田辺市宮津にある有限会社岩本製作所では、この蓄光商品をはじめ、創業当時からの旋盤加工技術でオリジナルの治具作りやアッセンブル、用途に応じた素材で樹脂加工製品等、お客様からの要望に応じた多種多様な物を作られています。



代表取締役 岩本 俊樹さん

有限会社岩本製作所 代表取締役 岩本 俊樹さんにお話をお伺いしました。

事業を始められたきっかけと会社を継がれた経緯を教えてください。

金属部品の加工工場に勤めていた父が独立して1967年に京都市内で「岩本鉄工所」をはじめたのが始まりです。当時は、ターレット旋盤で金属加工をスタートし、どんな材質の金属でも切削加工のできる工具の開発をはじめとして、特殊な金属加工を他社より早く低コストで生産出来る事で、受注数量が増え、京都市から八幡市へ拡張移転しました。その後、時代の流れで、金属よりも樹脂加工の取扱いが増え、ホットスタンプ加工やインクリボンカセットの組立て等、徐々に、生産量や取扱い品目が増えました。そのため、1991年「有限会社岩本製作所」として法人化し、2015年に現在の宮津に移転しました。

私は当時の京都府立田辺高校電子科を卒業後、約6年勤めた電子部品の会社を辞めて、子供の頃からモノづくりが好きだったこともあり、1989年にこの仕事を始め、2011年に事業承継して、代表取締役となりました。




御社のモノづくりについて教えてください。

創業当時は旋盤一台の機械で、加工の難しい真鍮やステンレス等の金属加工をし、時代の流れの中で素材が金属から樹脂に代わり、部品加工から最終仕上げまで行う組立て加工やホットスタンプ加工やインクリボンカセット等の組立て加工へと現在に繋がる事業内容の変化をして来ました。今は軟質系の樹脂加工のご依頼が多く、お客様からのあらゆる要望に応じて、素材の材質や硬さ、形状等の提案、自社の技術でいろいろな製品の開発から量産組立、型づくりから成型、包装出荷まで行っています。その樹脂成型部門では2種類の特許を取得し、製品化したものがあります。その1つはガラスビーズを入れた樹脂成型の蓄光製品で、大手物置メーカーの取手部分にも使われています。もう1つは、シリコン加工部品で、モノに着きにくい特性のあるシリコンを接着できる生産技術で特許を取得し、現在、大手ペットメーカーさんのペットの虫除け材のパーツに使われています。今後、ペット関連だけではなく自動車関係の芳香剤や人の携帯用の虫除けにも横展開していく予定です。

2種類の各特許証の画像

2種類の各特許証

素早い対応での組立てが可能なのはどうしてですか。

約16年前に京田辺市商工会の勉強会で現場改善について学び、工場全体の片付けや整理整頓等を実践するためのトヨタ生産方式(※1)を導入したことで、素早い対応と効率的な段取りで、お客様からの少量多品種生産や急な注文、予定変更でも素早く対応できるOEM生産(※2)ラインや試作が可能になりました。このおかげで、実践する前よりも、生産量や売り上げがぐんと伸びています。現在、従業員は正社員3名とパート10名で、それぞれが担当の製品作りを受け持ち、その業務の中で、多能工化(※3)することで、欠員があっても、作業が滞ることのないようにしているからです。

(※1)トヨタ生産方式:ムダを徹底的に排除する生産方式のこと

(※2) OEM生産:「Original Equipment Manufacture」の略で他社ブランドの製品を製造すること

(※3) 多能工化:一人で複数の業務や工程をこなすスキルを持った作業員を増やすこと



インクリボンカセット組立て作業をする様子

インクリボンカセット組立て作業

スピーカー部品組み立て作業をする様子

スピーカー部品組み立て作業

樹脂成型「鼻モデル」の仕上げ作業の様子

樹脂成型「鼻モデル」の仕上げ作業

モノづくり企業としてお客様との取り引きで大事にされていることは何ですか。

お客様の「やってくれへんかな-!」の声をそのまま形に仕上げる、「やってみたらええねん。」という先代のモノづくりの姿勢を引き継いで、どんな製品作りにも対応することを大事にしています。お客様も従来からお付き合いのある方やその方の紹介でいただくお仕事も多いのですが、展示会や当社のホームページをきっかけにした依頼もいただいており、その中で、販促用サンプルの依頼は、旬の季節を問わずに使用できるハバネロを本物そっくりに樹脂で作ることで、新たな取扱い製品の幅も広がるきっかけとなったこともあります。

今年は「丹波黒豆のリアルモデル」を展示会サンプルにご使用とのご依頼で作らせて頂きました。


リアルモデルのハバネロの写真

リアルモデルのハバネロ

リアルモデルの丹波黒豆の写真

リアルモデルの丹波黒豆

最後に今後の事業展開や抱負をお願いします。

現在、取り組んでいるリボンカセット等の組立てやいろいろな素材を使った樹脂加工の製品作りとそれを応用した横展開の商品開発や新規市場の開拓をしていきたいと考えています。そのため、新しい機械設備を市の中小企業成長支援事業補助金も利用して、導入しております。今後も、引き続き、いろんなビジネスチャンスを生かし組立てや製品開発に取り組んでいき、次の若い世代のベース作りのためにも特徴をもたせた商品開発とその市場を広げて行きたいと考えております。従業員については、新たな業務が本格化した時に、モノづくりに意欲のある方の採用を考えております。

今後もお客様の「やってくれへんかな-!」の声をそのまま形に仕上げていけるように、「やってみたらええねん。」という先代のモノづくりの姿勢を引き継ぎ、従業員と共に、トライアンドエラーを繰り返しながらも、お客様からの要望に合う製品作りを心がけていきたいと考えております。


インタビューを終えて

岩本社長の「本当に、人との繋がりに感謝しています。」との言葉が印象的でした。家業を継ぐにあたり、京田辺市商工会の勉強会での学びを業務に活かし、京田辺ものづくり工房「D-fab」(※4)の発案や京都府立田辺高校の連携事業等の地元での活動等が、いろいろな仕事の依頼や人材の採用に繋がって、今があることをお伺いできました。社長の夢は、京田辺の駅で、「岩本製作所」と言えば、誰もが案内できる会社にしていきたいそうです。

これからも、お客様からのどんな注文にも、先代の「やってみたらええねん。」で、さまざまな製品作りや、新規開発をして市場を広げていただきたいと期待しております。

 

(※4)京田辺ものづくり工房「D-fab」:同志社大学京田辺キャンパスD-eggにあるFabスペース、「市内企業の事業高度化」「創業支援の拠点化」「学研都市技術者間の交流と新産業創出」などを目的として京田辺市、京田辺市商工会、同志社大学、中小機構、関西文化学研都市推進機構の協力により設立、3Dプリンター、レーザー加工機等のモノづくり設備を利用できる会員制の施設

有限会社岩本製作所(別ウインドウで開く)




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