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【働くキョウタナビト】飛鳥メディカル株式会社 代表取締役会長 中村誠司さん

[2021年7月20日]

ID:71

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近年、レーザー医療は、患者の身体的負担の少ない医療手段として、注目を集めています。からだにやさしく自在な治療ができるツールとして注目を集め、多くの医療現場でレーザー医療機器が導入され始めています。

飛鳥メディカル株式会社は、2003年1月に、レーザー医療機器の研究開発型ベンチャーとして誕生しました。人や動物の健康に貢献できるレーザー医療機器の研究開発をされています。世界初の子宮頸がんレーザー温熱療法装置の開発をする等、複数の大学医学部・獣医学部・工学部との共同開発に積極的に取り組み、高度な先端技術をリードしています。

現在、京田辺市にある同志社大学連携型起業家育成施設D-eggの開発センターで、世界的な注目を集めるレーザー医療装置を研究開発されています。

 


代表取締役会長 中村誠司さん

代表取締役会長 中村誠司さんにお話をお伺いしました。

起業のきっかけを教えてください

いつか起業したいという思いは30歳前後にぼんやりとありましたが、その決定的なきっかけは、はじめに外資系のレーザーの会社に就職して、いろいろな外科系のレーザーメスを見たこと。そして、何よりもそのレーザーメスでお医者さんが椎間板ヘルニアの患者さんの患部を実際に切らずに治し、お医者さんや痛みの取れた患者さんが、その手術を大変、喜ばれたのを体感したことです。その後、美容関係のレーザー機器の取り扱いなど、いろいろな仕事を経験しましたが、やはり、自分にとってのやりがいは、外科系やがん治療のレーザー治療にあると思い、国内製造の治療機器を生産する為に起業しました。


レーザー医療機器を製造する上でどのような点に苦労されましたか。

医療機器には治療機器と診断機器があり、日本にも多くの医療機器メーカーがありますが、そのほとんどが、診断機器のメーカーです。それは、治療機器は直接、人の命や生涯に関わり、企業リスクがあるためですが、治療機器のほとんどが輸入という中で、私はやはり国内製造に対して強い思いがありました。

しかし、起業のために必要な医療機器の製造許可を取ることから始まり、人に使う単純なレーザーメスの医療機器の承認を取るためには、いろいろな条件をクリアする必要があり、かなりの年数と費用がかかりました。日本で医療機器の許認可を得るのは、本当に難しいのです。

そのため、申請を取得するまでの間、人用の医療用レーザーの製造販売が出来なかったため、以前、勤務していた会社から仕入れたペット用のレーザー医療機器を獣医さん向けに販売したのが販売事業のスタートでした。その約10年後に、やっと人用の医療機器の製造証明が取れました。


どのような思いで製品を開発されているのでしょうか。

基本的にがん治療は、手術、抗がん剤、放射線治療の三大治療が中心となりますが、どれも副作用が強く患者にとって非常に大きな負担になります。

その為、その副作用が軽度な治療器を普及させたいという思いを強く持って日々、製品開発を行っています。

その思いがあってか、縁あって、名古屋大学から子宮頸がんのことで相談を受け、共同で子宮頸がんの治療装置を作り、臨床実験を経て世界初の子宮頸がんレーザー温熱療法装置も開発できました。

今、治療の現場で使われているのは、どのような製品で、どこで製造されているのですか。

レーザーメスの治療機器を、本社を置いているD-eggで製造しています。自社だけではできない製品もあり、技術を持つ京都の企業を中心とした協力会社で製造しているものもあります。

新たな商品の開発など取り組まれていることはありますか。

がんに集まる薬を点滴して体表や内視鏡からレーザー照射するPDTと言われるがん治療にも挑戦し、ペット医療での臨床試験では高い効果を得ています。その他、いろんな場所でマッチング可能な内視鏡のレーザー製造の内製化にも取り組んでいます。

最後に、今後の事業展開や抱負をお願いします。

コロナの影響でペットを飼う人が増え、動物医療の需要が増えました。ただ、今後、どのような社会情勢になるのかわからないので、新規採用はせず、現在の従業員17名とともに、取扱製品を増やして売り上げを伸ばしたいと考えています。

現状、売上の構成比は動物医療向けが多いので、動物用X線撮影装置や世界初の小動物専用人工透析装置、動物用内視鏡事業など獣医向け製品の取り扱いを増やし事業基盤を固めていきたいと思っています。

また、人用のレーザーについては「ADL-20」の規格が変更になり、残り5,6台の販売分だけで、現在、製造ができていません。そのため、動物用のレーザー機器の「D Lase V20」をスペックダウンして人用のレーザーとして承認を取るための申請を行っていますが、人用に承認を取るためには病名毎に臨床治験を行う必要があります。そして、その病名毎に臨床治験の費用が、数億円かかります。

これまで蓄積してきた技術には、とても自信があります。資金さえあれば世界初・世界一の治療機器を作れると思います。そのためにも、大きな会社とのマッチングを実現させて、この高度な技術で研究開発した世界初、そして世界一の治療機器を社会に提供していきたいと思っています。


内視鏡機能付きレーザー温熱療法装置 試作機

動物用人工透析装置

動物用半導体レーザー D-LASE

インタビューを終えて

中村会長のお話から、医療機器であるレーザー治療器の許認可申請に、かなりの年数と費用がかかることを聞き、高度な技術を持つ医療機器ベンチャー企業の事業の厳しさを感じました。そして、研究開発したレーザー治療装置が患者である人や動物のために、低侵襲であることを一番に思って作られていることや、産学連携の共同研究で世界初の子宮頸がんレーザー温熱療法装置を開発するなど、高い技術力で、たくさんのレーザー治療装置の製品を研究開発されていることをお伺いできました。

医療機器へのハードルが高い中、チャレンジする企業があること、そういう企業の存在が私たちの医療を支えてくれているのですね。


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