ページの先頭です

【働くキョウタナビト】「野﨑工業株式会社」 代表取締役 野﨑 惠美子さん

[2025年3月27日]

ID:119

ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます

金属加工や機械製造など「ものづくり」の現場において、女性の就業比率は未だ低いのが現状ですが、女性も働きやすい職場づくりを積極的に進める企業も徐々に増えてきました。

鉄のほか鉛や銅・チタンなどの非鉄金属の加工を得意とし、機械関連部品の製作から発電所の遮蔽施設の工事までを手掛ける京田辺市大住の野﨑工業株式会社では、熟練の職人と共に若手女性も製造の現場で活躍されています。

野﨑工業株式会社 代表取締役 野﨑 惠美子さん

代表取締役 野﨑 惠美子さん

野﨑工業株式会社 代表取締役 野﨑 惠美子さんにお話をお伺いしました。

創業から現在までの経緯について教えてください。

1967年(昭和42年)に夫が故郷の山口県宇部市で創業しました。高度成長期の1973年(昭和48年)に枚方市へ本社を移転、事業拡大に伴って1981年(昭和56年)に京田辺市大住工業専用地域のこの地に工場と事務所を新設しました。当時はまだまだ田畑が多く、のんびりした雰囲気でした。創業から今年で58年、若手女性社員が増えたこともあって事務所等を全面改装し、職場環境を整えました。社員のモチベーションを高めるステップになればと期待しています。


本社

事業内容と取引先について教えてください。

当社では、鉄のほか鉛、銅、チタンやステンレスなどの非鉄金属を加工し、水素発生装置など化学工業に関する機械部品の設計・製作から据付工事までを行っています。主に鉛を溶接、溶着して鉛電極を製造しており、「化工機」と「遮蔽」の二分野で事業展開しています。


1 「化工機」関連分野

化工機とは、製鉄業や石油化学工業、薬品工業のように巨大な装置や設備を必要とする分野において、化学処理のために用いる機械のことです。化工機に用いられるチタンや鉄、銅など耐酸性のある材質の中でも鉛を主な材質として、化工機関連製品の製造・販売を行っています。

【チタン製部品】

【鉛蛇管】


2 「遮蔽」関連分野

発電施設の配管への鉛部品の装着、研究所や医療施設の遮蔽扉の製造・設置を行っています。日常的にある仕事ではないですが、一旦発注を受けると工期も長く、売り上げも大きくなります。


【配管鉛】

【遮蔽扉】

受発注の流れと製造工程について教えてください。

お客様によって使用用途が違うので、製品のサイズや材料も多岐にわたります。大手の取引先が多く、製品の不具合等で万一ラインを止めることになれば大変な損失となります。そうしたことがないよう、十分に打ち合わせを行い、万全の体制で製作に移ります。基本的に手作業で行い、熟練した職人にしかできない仕事が多くあります。

製作期間は、小さいものなら1~2週間ですが、大きなものを製作する場合には、1年以上要する場合もあります。どのお客様からも早い納期を求められるので、いくつかの発注を同時進行で進めています。また、既に設置した製品の定期的なメンテナンスも随時行っています。近年では、海外からの受注もあります。


鉄板に鉛を溶着しています。

精度の高い切削をしています。

仕上がった電極を絶縁部分に張り付けています。

得意とする技術や強みについて教えてください。

金属加工業では、7~8割の会社が鉄とステンレスを扱っていますが、当社はその他に鉛やチタン、銅などの非鉄金属も得意とし、材料調達から溶接まで一貫して対応しています。

金属はその特性によって取扱方法が違うので、独自のノウハウが必要です。例えば、鉛は電極や遮蔽装置に使用しますが、柔らかく加工がしやすい反面、傷つきやすく刃物に付着しやすいので、繊細な扱いが必要です。

チタンは、軽くて強く錆びにくいといった性質から、身近な物ではキャンプ用品などに用いられますが、熱伝導率が低く発火性を持つので、切削時の条件によっては工具が破損したり燃えたりする可能性があり、注意が必要です。当社は、扱いの難しい金属の加工を得意とし、他社との差別化を図ってお客様の多様な要望にも柔軟に対応しています。


印象に残るエピソードを教えてください。

25年程前、発電所の遮蔽機器製作を新規で受注した際のことです。大型機器のため、工期は何年にもわたり、折々に立会検査があります。お客様の立ち会いのもとに品質管理データの検分があるのですが、ひとつの製品に対する膨大なデータ量に大変驚いたとともに現場の緊張感を今でも思い出します。改めて思い返してみると、この時の経験が当社の品質管理や接遇マナーへの高い意識につながっていると感じます。

従業員数や部署について教えてください。

製造、営業、総務の3部署があり、社員は16名です。年代は、20代から70代までと幅広く、6名の女性が活躍しています。それぞれの部署が重要な役割を担っていますが、欠員が生じた場合などでも相互にフォローが出来るような体制作りに努めています。


人材採用と社員教育について教えてください。

人材募集の際に細かな制限等はありません。製造の経験がなくても社内OJTにより安全に仕事ができるように一から指導しています。また、社外の安全講習や免許取得のための講習を受講してもらったり、講師を招いての講習会を開催するなど、日々技術を研さんしてもらえる環境を整えています。ものづくりチームの一員として、一生懸命前向きに頑張ってくれる方を求めています。

 


社風や特徴的な取組について教えてください。

経営理念は「信頼と調和」です。当社を信頼して発注してくださるお客様、信頼して働いてくれる社員、信頼して支援してくださる皆様、三方の信頼と期待に応えられる企業でありたいと考えています。日々精進してくれる社員が働きやすく、また働いて良かったと感じてもらえるような職場環境づくりに力を入れています。近年では、年間休日を大幅に増やすなど就業規則の変更や健康診断や脳ドック受診費、スポーツジム会費への補助も行っています。

社内イベントの多さも自慢できるところです。ゴルフ部や釣り部、キャンプ部などの部活動のほかバーベキューや月一回のバースデー会、ランチ会など楽しいイベントを多く開催して交流を深めています。

 


キャンプ部の様子

ランチ会の様子

季節に応じたイベントもあります。

今後の事業展開や抱負をお聞かせください。

現場で働く女性が増えたこともあり、女性はもちろん社員みんなが働きやすい環境と体制を一層強化していきます。社員の雇用と笑顔を守り、熟練職人の高い技術を絶やさないよう若手の育成にも力を入れ、次の世代へ末永くつないでいきたいと考えています。また、金属加工技術を礎として新規分野への挑戦も視野に入れています。


託児スペース

改装後の明るい社内

社員のコメント

(総務・製造部 三木菜乃花さん 26歳 入社4年目) 

ここは祖父が創業した会社で、幼い頃から家族が楽しそうに働いている姿を見て育ちました。元々ものづくりに興味があり、将来は私もここで働きたいと思っていたので、大学卒業後は迷わず入社しました。入社当初は総務部勤務でしたが、今は製造部の仕事も並行して担当しています。実際に製造の現場に出たことで、以前より製造過程や職人さんの気持ちが理解できるようになり、お客様とお話する際にとても役立っています。


加工作業を行う三木さん

(製造部 加嶋風花さん 25歳 入社1年目)

以前は大阪に住んでいましたが、出産などを機に京田辺市に転居してきました。製造業の現場で働く女性は少ないイメージでしたが、同世代の三木さんが社内を楽しく案内してくれ、とても雰囲気が良いと感じて入社しました。工場なので危険と隣り合わせで安全確認や作業手順の確認など常に気を配る必要がありますが、ものづくりの現場は楽しいです。子供がまだ幼いので子育てとの両立は大変ですが、発熱など病気で保育所に行けないときは、同伴で出勤して他の社員がサポートしてくれるのでとても感謝しています。知らない土地に越してきて不安でしたが、この会社のみなさんに支えてもらい、心強く感謝しています。


三木さん(左)と加嶋さん(右)

インタビューを終えて

社長のお話から、熟練した職人の技術を駆使した金属加工への熱い思いと社員の方への愛情を感じました。社内の全面改装や女子トイレの増設をはじめ、休憩スペースや託児ルームの設置など、社員のみなさんにとって快適な職場環境を提供されています。今後も社員のみなさんとともに、益々飛躍されますことを期待しております。


お問い合わせ

京田辺市役所経済環境部産業振興課

電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

ファックス: 0774-64-1359

電話番号のかけ間違いにご注意ください!

お問い合わせメール


ページの先頭へ戻る

Copyright (C) Kyotanabe city All Rights Reserved.