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【働くキョウタナビト】「株式会社SOCRAH」代表取締役 津村 宏臣さんと総務部 大原 真菜美さん

[2024年2月26日]

ID:100

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いろいろな思い出の写真やビデオ等を見て懐かしんだりする時、また、そこに行ってみたいと思うことはありませんか。そんな時、VR(※1)技術を使えば、まるで本物を見ているかのように、再現、体感することができます。このVRは、今、観光、医療、教育現場等、様々な場面で、注目され、より一層広がりを見せている分野ではないでしょうか。

京田辺市にある株式会社SOCRAHは、2022年2月に同志社大学発ベンチャーとして、このVR技術等を駆使してお客様の要望に寄り添い、文化遺産活用のコンサルティングや展示や配信用のデジタルコンテンツの制作、遺跡や文化財等の3D計測とデータ化をはじめとした多種多様な事業に取り組まれています。

(※1)VR:「Virtual Reality」バーチャルリアリティの略、「仮想現実」と日本語では一般的に訳されます。

株式会社SOCRAの  代表取締役 津村 宏臣さんと総務部 大原 真菜美さん

株式会社SOCRAH 代表取締役 津村 宏臣さんと総務部 大原 真菜美さん

株式会社SOCRAH 代表取締役 津村 宏臣さんと総務部 大原 真菜美さん にお話をお伺いしました。

起業のきっかけを教えてください。

私は、大学で文化遺産の情報に関する遺産の計測やデータのアーカイブ等を使って研究しています。そうした日常の研究や教育の中で、結局、計測していたデータやアーカイブデータは、「誰が使うか、何のために使うのか?」と考えた時に、それを利用し伝えていくのは地域の人たちで、大学という研究/教育機関には応用の回路がないことに気付きました。ストックしたデータや計測した記録を地域やそこに訪れる人たちに戻していくこと、つまり、応用や運用の回路の開発を企業としてできないかな、と強く思い起業しました。同じような思いはかなり前からあり、10年くらい前にNPO法人「SOCRAH」として取り組んでいた時代がありました。しかし、収益事業化ができない運用形態では、地域のレジリエンス(※2)や事業のサステナビリティー(※3)が維持できなかったのが実際でした。そこで、企業として、採算性をもってできればという思いで、2022年2月1日に株式会社SOCRAHを起業しました。社名は、人文・社会の調査や研究を支援する組織機構 = Service Organization for  CReating Advanced Humanitiesの頭文字をとっています。

(※2)地域のレジリエンス:災害や気候変動等の危機に対して地域社会が回復力や適応力を持って対処する能力のこと

(※3)サステナビリティー:「持続可能性」という意味をもち、環境や経済等に配慮した活動を行うことで、社会全体を長期的に持続させていこうという考え方のこと


ご自身がこの分野に興味を持たれた経緯は何ですか。

私は、広島県呉市の出身です。港には潜水艦や護衛艦、時に空母も来港し、母校の小学校には旧呉海軍墓地が隣接しています。下校時には不謹慎ですが墓碑に隠れて鬼ごっこをしたり、そこに慰霊祭や御遺族、御戦友が集う姿も日常的でした。また、「レンペイジョウ」と呼ばれる場所(呉市民広場)は、私達の草野球場でした。進学で地元を離れてみると、自分が当たり前のように見ていた場所が、他の人たちからは全く異質な場所に見えているという感覚を持ちました。潜水艦や護衛艦、海軍墓地や「レンペイジョウ」は「戦争」の象徴、つまり現行の憲法上「放棄」され忌避されるもの、という見方もありますが、私には、それらはネガティブではなく、他の人たちが知らない身近な場所で、私だけが知っている真の場所という感覚がありました。

「私と私の場所って何だろう」と思ったとき、自分の生まれ育った場所や他の人の場所は、その風景やその歴史が一人一人にとってそれぞれ違ったもののはずです。私にとって、戦争の歴史は誰よりも「身近」に知覚していた過去があるわけです。一方で、学校では一般化した歴史や文化を学んで、それを正しい歴史として理解します。そこにあるギャップ、戦争反対の声や国防の話等、どっちが文化や歴史として正しいのかがずっと謎だったので、大学では人類学や歴史学を学び、自分の学問として実践するプロセスの中で、どうすれば今の人たちが教科書で習ったものとは違う歴史を知ることができるかなと考えました。現在、勤めている大学での人類学や歴史学の研究成果を、実際にVRを使ったり、映像資料を作ったり、教材を作る等して、その地域の人々に「身近」な歴史や文化として社会化する、そうした活用を事業として運用していけたらいいな、というのが興味を持った経緯です。

京田辺市であれば、例えば、一休寺もあるし、古くからの南山城を物語る芳醇な歴史と文化もある。だけど、京田辺市の子ども達は、普賢寺の谷が中世都市だったこと、例えば一乗谷(※4)と同じくらい栄えていたこと等も知らないのです。当たり前ですが、知らなければ大切にできないですし、「身近」にもならないですよね。当社ではそのきっかけづくりを京田辺市でできたらいいなと考えています。

(※4)一乗谷:戦国大名、朝倉氏の本拠地、小京都とも呼ばれ経済的にも発展した現在の福井市にあった文化都市

具体的にどのような事業展開をされていますか。

基本的には、地域にある文化、地域の人に対して、VRを活用したサービスに関するコンサルタントや技術提供をしています。例えば、自分の生まれ育った実家に愛着はあるけど、仕方なく家を壊す事になった時に自分の生まれ育った場所を完全にデータに残してプリントアウトして自分で模型を持っておくとか、VR空間で残して自分の子ども達にこういう家の梁があってとか、記憶を可視化することで、その生きている人の思い出や記憶をデータにして残すことが当社の事業です。外部にある歴史を身体化したり、他者の身体化した文化や歴史を可視化して伝達する、そんな事業になります。

国宝、高松塚古墳壁画が描かれた石室VRコンテンツ
国宝、松江城天守閣の3次元構造モデル

左:国宝、高松塚古墳壁画が描かれた石室VRコンテンツ。実際の石室はこれよりも狭く、壁画をくまなく観察するには暗い場所ですが、VR空間の中では、石室内を立って、歩いて移動できると同時に、国宝の壁画が目の前で観察できる。

右:国宝、松江城天守閣の3次元構造モデル。歴史建造物の建築構造把握のため、これまでの復元設計図面だけでなく、現物を3次元計測して柱や梁だけを抽出した。松江城もVRコンテンツとして松江歴史館で公開されており、松江城内を歩いて柱や梁、壁や構造をくまなく観察できる。
京田辺市所在の重要文化財、澤井家住宅のVRコンテンツモデル

京田辺市所在の重要文化財、澤井家住宅のVRコンテンツモデル。尼門跡領の大官屋敷であったことから屋敷の平面携帯が接客機能を重視した特殊構成となっており、意匠も含めデジタルコンテンツ化した。VR空間内で、利用者は澤井家住宅内を隅々まで観察することができる。

事業内容は多種多様ですが、根本にあるのは何ですか。

様々な事業はありますが、依頼を受けた内容に応じて、その人が持つ思い出や思い等をどのようにデータとして保持して、使っていただくかというのを考え製作するのが、当社の根本にあります。今、事業の多くは、行政が文化財の記録をとって市民の人たちに見ていただく部分での応用ですが、一般の方にもご依頼があれば、ご要望に応じて対応していきたいと考えています。

事業内容の中に福祉・介護・医療現場でのメタバース(※5)応用促進事業とありますが、どのような内容ですか。

これは、私が大学で担当するゼミの4年生が研究する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の方に、記憶を可視化、データ化する部分で役立てるように社会応用していく実験段階にある事業です。このALSは、病状が進行していくと全身が随意には動かなくなり、最後に残るのが視覚と聴覚と括約筋だと言われています。そこで、自分の身体では意思疎通の困難な状況に少しでも役に立てば良いなと考え、VRグラスを付けて目線を動かすことでテキストの入力作業ができて介助者無しで会話を楽しめたり、ベッドを離れて観光に行きたいならメタバースのコンテンツで、目線だけでいろんな所へ行くことも可能になる、という事業です。もちろん、義足や義手のような「義身体」にすぐにVRが到達できるわけではありませんが、いずれはそうしたQOL(※6)向上のためのサービスに昇華していければと考えています。

(※5)メタバース:一般的に、インターネット上の仮想空間に作られた世界のことを意味する。

(※6)QOL:Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略称で、「生活の質」「生命の質」「人生の質」と一般的に訳されます。


シゴトニア☆京田辺(2023年11月3日開催)でVRグラスを使って映像を見る体験中の子供
シゴトニア☆京田辺(2023年11月3日開催)でVRグラスを使い映像を見る体験中の子供
シゴトニア☆京田辺(2023年11月3日開催)でVRグラスを使った映像を見る体験

どのような道具を使って、製作されるのですか。

基本的には時空間そのものをデータにするので、一つ一つ依頼に応じて、3Dスキャナー、モーションキャプチャー(※7)や写真機類を使い、内容に応じて技術と知識を駆使して作り上げています。既製の部品がなければ、当社で設計したものを3Dプリンターで作り出して機材を作成することもしています。例えば、「伊賀越えVR」(※8)では、ステレオカメラで、音、視覚、空間をそのままデータに出来る道具を使って、依頼に応じたものを作り上げています。

(※7)モーションキャプチャー:人や物の動きをデジタルデータにする技術

(※8)「伊賀越えVR」:NHK大河ドラマ「どうする家康」の放映と合わせて京田辺市と京田辺市観光協会、同志社大学、京都信用金庫、市内企業が合同で製作したVR動画


エジプト、アレクサンドリア近郊コマルディバー遺跡の測量風景
社会調査の一環で、観光客の動勢をAIを使って解析した画像

左:エジプト、アレクサンドリア近郊コマルディバー遺跡での測量風景

右:社会調査の一環で、観光客の動勢をAIを使って解析した画像。場所は京都・錦市場で、防犯用のカメラ映像を解析して観光客一人一人の姿勢や行動、速度や角度などの時系列での変化をデータ化する。場所ごとの特性を評価することで、より効果的な営業手法をコンサルティングするだけでなく、観光公害などの課題解決を目指す。


左から、VRグラス、手で持つのはARグラス、その右は3D計測用のLiDARスキャナ、中央の木枠と中央のろくろが、写真測量を応用した3D計測システム(SOCRAH開発)










左から、VRグラス、手で持つのはARグラス、その右は3D計測用のLiDARスキャナ、中央の木枠と中央のろくろが、写真測量を応用した3D計測システム(SOCRAH開発)。オブジェクトをろくろにのせ木枠のジオデシックドームで撮影、その後、写真を用いて計測して、被写体の3次元モデルを自動生成する。

受注はどのように依頼されるのですか。

現在は、ご依頼のほとんどは、行政や関係のある研究所や研究機関、博物館、美術館です。当社は、同志社大学発ベンチャーですので、各依頼先と大学側が、依頼内容全体のグランドビジョンを描く中で大学での研究の段階部分と分けた社会化、応用の部分を当社に再委託をかけるという形で依頼を受けています。また、私が研究者として取り組んでいる内容をご存じの方から、直接、当社に依頼されることもあります。今後は、一般の方からも、自宅やご自身の記憶、自分の場所の記録等も含めた受注の依頼も受けていきたいと考えています。

契約件数や製作期間について教えてください。

年度によって違いますが、最大10件前後です。そのうち、今年度は、大体6件前後です。全部並行して作り上げていきますが、行政の依頼は大体5カ年、10カ年という計画の中で、各年度内にできる計画を立てていくことが多いです。ただ、私1人で、こなせる業務ではないので、技術を持つ学生にアルバイトの依頼をします。

製作する中で一番大事にされていることは何ですか。

どの作品に対しても、最終のエンドユーザーである方が、どこで見るのか、どう使うのか、何を身体化するのか、ということを当社では、とても大事にしています。例えば、京田辺市で「伊賀越えVR」の映像を作っていましたが、「シゴトニア☆京田辺」(※9)等、京田辺市のイベント等で見ていただいたり、楽しんでいただいたりするエンドユーザーを考えた場合、有名な俳優さんよりも京田辺市にゆかりのある学生や働く人等の出演の方が、費用対効果が高くなります。そして、一緒に作ったことで、おそらく、京田辺市という場所に強いシンパシーを持つようになり、ここに住んでいる人もより強いシンパシーが生まれていきます。その相乗効果を図ることを大事にして作っています。

(※9) 「シゴトニア☆京田辺」:「京田辺のシゴト」に焦点を当て、京田辺市に縁のある様々な企業・団体と市民が交流できる場作りと参加企業・団体の活動を市民に広くPRして企業の販路拡大や長期的な人材確保の貢献を目的にしたイベント(令和5年度は11月3日に市役所コミュニティーホールで開催)

「伊賀越えVR(甘南備山編)」の撮影風景
「伊賀越えVR(甘南備山編)」の甘南備山で撮影する風景
「伊賀越えVR(甘南備山編)」の飯岡の木津川の河川敷での撮影風景


「伊賀越えVR(甘南備山編)」の撮影風景
「伊賀越えVR(甘南備山編)」の澤井家住宅での撮影風景

「伊賀越えVR」撮影風景

(上段:甘南備山、中段:飯岡の木津川の河川敷、下段:澤井家住宅)

VRには、VR空間を自由に動き回れる6DoF(Degree of Freedom:自由度)と、カメラの位置が固定で頭が動かせる3DoFの2種類があり、「伊賀越えVR」では、3DoFでのコンテンツ化を採用、VRグラスをかけると神君家康公とともに伊賀越えを追体験できる映像を制作。

御社はどのような強みがありますか。

測量事業者やデータ事業者、VRやCG作成事業者はいろいろと存在しますが、当社では、依頼どおりに作るだけではなく、理論的・学術的な背景を考えてコンサルタントまでできる強みがあります。依頼内容に応じて、依頼先の要望を丁寧に聞きながら一緒に作り上げ、仕様を整理していくなど寄り添った対応を心がけています。逆に、事業の進行に合わせて、ご依頼先の用途の拡張や利用可能性の提案なども併せて行いながら、より多くの人が特別な歴史や文化を自分の身体に刻みつけられるよう進めていける強みがあります。大学発ベンチャーであることは、同時に歴史や文化の新発見や新事実の確認など、事業を通じた学術への貢献も期待されています。


これまで、製作された作品の反響を教えてください。

いろいろと反響はあり、例えば、小中学校で教材用に作った作品を見た子ども達から文集をいただいたり、多くの喜びの感想を寄せてもらっています。他にも明日香村の仕事で東京へ行きましたが、良い評価をいただくことが多く、やりがいに繋がっています。京田辺市の「伊賀越えVR」では、「シゴトニア☆京田辺」だけでなく観光協会主催イベントにも出展し、両日で200名を超える京田辺市民の皆さんに「伊賀越え-甘南備山編-」を楽しんでもらい、地域の皆さんが、「あそこで撮影しただろ?」とか「もうちょっとええ場所があるで」というように教えてくださいました。VRを通じて、甘南備山の歴史や風土の身体化の一歩近づいたそんな印象を持っています。

今後の従業員の採用や課題を教えてください。

現在、従業員は1名ですが、現状況をより改善して、よりたくさんの仕事を受けられるように検討していきたいので、今後は大学院で研究業務に習熟した技術者を1名、採用したいと考えています。ただ、課題としては人を雇う資金が必要なため、仕事の依頼はいろいろとありますが、技術者が足りないので仕事をこなせない現状があります。

今後の事業展開はどのようにお考えですか。

2025年開催の大阪万博に向けて、当社も万博関係の依頼が非常にたくさんあります。今の当社の規模では対応が難しい面はありますが、万博開催以降の関西を考えた際に、どんどんICT(※10)化やデジタル化が進むと考えられます。また、デジタル田園都市構想など、国が進める事業などもあり、問い合わせは少なくありません。その中で当社は、この数年の間に行政と大学と当社が連携した教育にも使える教材をひとつのロールモデルとして作って、万博やデジタル田園都市構想の流れにのっていけたら、いいなと考えています。

また、先ほどお話した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の人や旅行好きだけど、行くことが困難な人たち等に、数万円規模でVR観光体験をしてもらえるコンテンツ販売のビジネスモデルを数年内に作りたいと考えています。

今、YouTube等、いろいろな映像をたくさんの人が見るようになっていますが、VRは実際、体験していただくと全く異質なものです。今後、どんどん一般化していく過程で当社でも興味をもっていただけるコンテンツを作っていきたいと考えています。

(※10)ICT:パソコンなどの情報通信機器を用いて人と人とのコミュニケーションを取ることが可能になる情報通信技術

今後の抱負を教えてください。

普段、教員として大学生を見て感じるのですが、みんな出身地が違う、それぞれの地元に誇れるものは必ずあるのですが、地元を離れた大学生は、そのことをよく知らないことが多い気がします。地元の小中学校に通っている間に「こんなええとこやん」と地元の魅力等をできるだけ掘り起こして知ることは非常に大切だと感じます。今までいろんな地域で取り組みを行っていますが、まずは、当社がある京田辺市からその取り組みを積極的にしていきたいというのが、近々の目標です。いち早く、京田辺市の小中学校と連携して、京田辺市でデジタル化したものを他市で取り組むカリキュラムのように、数年内に完成できればいいなと考えています。そして、京田辺市を学業などで離れた子どもたちが、また、帰ってくるような場所にできればいいなと考えています。

例えば、京田辺市の地元の人には「天井川」がある風景は当たり前のことかもしれません。ですが、私は、ここに来て初めて見て驚きました。木津川と京田辺市との歴史の中で生まれた生活景観を今の京田辺市の子達は当たり前に見ているのです。他所から来た人にとったら、驚きですが、こういう景色を含め自分視点から見て知らせる。全国でも珍しく自慢できる事だと気付いて欲しいのです。それには、他所と比較していかないとできない。だからこそ、他所の景観や風景も一度体験して、自分たちとどう違うかを体験してほしいと強く感じます。それは、私が呉を離れても、なお、潜水艦や護衛艦、海軍墓地やレンペイジョウという景観に誇りを持ち、誰よりも戦争を身近に知覚していた私のような特別感を、京田辺市で過ごす子供達に持って欲しいと思います。

京田辺市の天井川と周辺の様子

京田辺市の天井川と周辺

現場の声として、従業員の大原さんから入社のきっかけをお伺いしました。

私は、2023年4月に入社し、総務部に所属しています。津村社長は大学の先生でもあり、先生のゼミ生として大学3,4年の2年間、文化遺産等について学んだり、協定先等への出張でVRの出展を通じて、見た方々からリアルな反響をいただいたり、地域の人たちと直接、お話をすることで、非常に楽しく、やりがいを感じたことが一番のきっかけとなっています。

ゼミは、「時空間情報科学・行動計量解析学研究室」という研究室に在籍し、卒業研究のテーマは、同じVRコンテンツを素材として、エンドユーザーがどのようにそれらを閲覧するのか、バーチャル時空間の中でのリアルな人間の行動の比較研究でした。例えば、サンプルに国宝の壁画で有名な高松塚古墳石室のVRを利用した場合、VRの空間にも関わらず、年配の人々は壁の壁画をまるで壁に掛かった2次元の絵を見ているように、じっと止まって観察しています。それに対して、子供達は壁画どうしを比べたり、実際に被葬者のように寝転んでみたりしながら壁画相互を空間と結びつけて閲覧する行動をします。そうした行動は、VRのRがみんな異なる、ということを明らかにするだけでなく、昨今の「高精細・高密度データ」での記録だけでは、対象のリアリティーが伝わらない、というVRのRを大事にすべきという結果になりました。その意味で、当社への入社は、企業の理念や目的も含め、自分の研究とマッチしていたと思います。

施設のハーブ園の整備を行っている様子

岡山県真庭市山田(旧北房)の古民家をリノベーションした施設を地域教育・郷育・響育・共育の拠点施設としても運営。その施設のハーブ園の整備を行っている様子

インタビューを終えて

津村社長ご自身が学生時代に地元を離れ、自分が生まれ育った場所では当たり前だった歴史が他の場所では当たり前ではないことに気付き、良い違和感を覚えたことで、大学での学びや研究で様々な功績等につながり、起業に至られたお話等をお伺いできました。

今後も、依頼先の要望に一つ一つ寄り添いながら、エンドユーザーのことを考えたVR製作をはじめ、一層の事業の発展と拡大を期待しております。

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電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

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