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【働くキョウタナビト】「住江工業株式会社」代表取締役社長 小野 博富さん

[2023年12月4日]

ID:98

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私達の生活に欠かせない自動車や電車、バスなどの乗り物は時代と共に私達のニーズに合わせて、より安全で、様々な機能やデザインを兼ね備えて作られています。それぞれの乗り物の内装には、大きなパーツである座席があり、快適な乗り心地や移動空間を安全にサポートする非常に重要な役割があります。京田辺市大住にある住江工業株式会社では、お客様の声を一つ一つ大切にした快適な移動空間のクリエイターとして自動車や鉄道、船舶に至る各部門の座席作りの研究・開発、製造、販売まで一貫生産されています。

住江工業株式会社代表取締役社長の小野 博富さん

住江工業株式会社 代表取締役社長 小野 博富さん

住江工業株式会社 代表取締役社長 小野 博富さん にお話をお伺いしました。

事業をはじめられて現在に至るまでの経緯と事業展開を教えてください。

1943年住江織物様の子会社として奈良木材工業を創立し家具の製造販売をはじめました。翌年、奈良航空機工業に改名して木工製の航空機を作る大手車体メーカーの京都工場内で、木製材の部品を作っていましたが、終戦の1945年、住江製作所と改名し家具や電車のシートの製造販売をはじめ、京都の大手車体メーカーの構内外注という形で大型バスやマイクロバスのシートを作りはじめました。その後、1954年2月に大阪で住江製作所から独立して住江木工株式会社を設立しました。1983年に、社名を現在の住江工業株式会社として、京田辺市に新本社工場を完成後、自動車と鉄道、船のシートをお客様の様々な要望に合わせて作り、今に至ります。現在、京都本社と九州、湘南の3拠点の工場と、兵庫の関連会社で事業を行っています。


京田辺本社と工場

京田辺本社・工場

入社のきっかけとその当時から現在に至るまでの仕事内容を教えてください。

私は、長男だったこともあり、地元で就職を希望していました。当時、私の実家の近くに京都工場があったこと、自動車産業に興味を持っていたことや叔父の勤め先だったことも重なり、実際、ものづくりを体験させてもらったことで非常に面白そうだなという思いが大きなきっかけとなり、1981年に入社しました。

入社して半年間は車のシート作りに関わり、その後、4年くらい営業をしていましたが、当時、オフィスコンピューター導入の時代を迎え、当社でも社内のコンピューター化に向け1年くらい大手車体メーカーのシステムを作る専門会社でシステム開発に取り組み自社にその仕組みを取り入れました。それから、新しい車のシートの立ち上げの営業を1年くらい経験した後、経理や総務等、会社の中枢的な部門でのいろいろな経験を積み重ねてきました。

また、当時は、知識や経験がなく分からないことは、今のようにネットで調べることもできないので、本を読んで調べるしかなかったのですが、自分で苦労して調べたことは、いつまでも覚えているものだと実感しています。そして、2022年に代表取締役社長に就任することになり、新しい事業へも積極的に取り組んでおります。

御社のものづくりへのこだわりを教えてください。

多品種少量の生産を基本とし、いろんな時代の変化の中でお客様のニーズに合った物をどうやったら喜んで受け入れてもらえるかを考えながら、こだわったものづくりを続けています。そして、当社のものづくりの中で、オートメーション化は進めているものの、柔らかい素材の取扱いでは、なかなか寸法通りの同じ物が出来ないので、まだまだ手作業に頼る部分が大変重要となっています。

特に公共の乗り物は、地域によってはそれを維持していかなければいけないという大きな課題もあり、そのお客様の熱い思いを直接、お伺いすることで、より理解を深め、その期待に応える仕事をしないといけないと実感した上で、より課題解決のためのものづくりが必要とされています。

作業台を上下に動かして、ひとつひとつ部品を取付ける
座席背もたれに表皮材をシワが出ない様に貼る作業

作業台を上下に動かし、一つ一つ部品を取付けます(左)座席背もたれに表皮材をシワが出ない様に貼ります(右)

どのようなお客様と取引をされているのですか。

自動車の座席は大手車体メーカーさんと鉄道の運営会社、鉄道の車両メーカーや船会社からも、様々なお取引の仕事をいただいております。取引のきっかけは、お客様同士のいろんな情報交換の中や当社ホームページをご覧いただくことでのお問い合わせからです。実際の製品作りでは、お客様の工業デザイナーさんと打合せを重ねて具現化していきます。

共有船『SEA SPICA』座席
共有船『SEA SPICA』の座席
『G7広島サミット』のロゴが入ったシートを設置するなど特別仕様のまま運航されています

共有船『SEA SPICA』座席(瀬戸内海汽船)(上段)

G7広島サミットで首脳陣の移動手段として使用、『G7広島サミット』のロゴが入ったシートを設置するなど特別仕様のまま運航されています(下段)


固定席 (JR西日本様225系0番台)
JR西日本様225系0番台の固定席

固定席(JR西日本225系0番台)

片持ち式シート 大阪メトロ
一人掛けシート 大阪メトロ
片持ち式シート(左)一人掛けシート(大阪メトロ400系)(右)

製造工程を教えてください。

当社に企画商品はなく、営業や設計・開発の担当者がお客様から様々な要望を聞いて、当社で長年蓄積してきたデータや知識と経験を活かした設計図面を作成し、具現化していき試作・実験を重ね、製品化していきます。各製造部門担当が、座席の骨組みとなる金属加工をはじめとし、中に詰めるクッション材や上に被せるカバーを一つ一つ丁寧に作り、それらを最終組み立てする社内一貫生産を行っています。その組み上がったシートを品質管理で品質を確認後、完成品として出荷します。

シートフレームを、パイプ曲げから完成品まで仕上げています


シートのクッション材の製造現場
シートカバーの製造現場
シートカバー製造の現場

シートのクッション材の製造現場(左)シートカバーの製造現場(中央、右)

シート組立作業と検査した後出荷

シート組立作業、検査後出荷

製品を完成するまでの期間と取り組みについて教えてください。

製品にもよりますが、試作から始まり製品の完成まで、短ければ、半年くらいで、大きなサイクルだと1年から2年くらいです。当社の特徴は、お客様の要望に合う満足していただけるものづくりをモットーに、リードタイムを短縮し、短納期を目指しています。自動車の座席については、ものづくりの仕組みや開発工程も確立しています。鉄道の場合は様々な鉄道のイメージに合わせたものづくりになります。

従業員の採用や社内教育について教えてください。

基本的に技術の伝承を含めて、ものづくりは製造業の一番の根幹になるので、従業員の採用については、「ものづくりが好き」という方を積極的に継続的に採用していきたいと考えております。そして当社の製品や仕事が好きだという方を積極的に採用したいと考えています。

採用後の社内教育については、オン・ザ・ジョブトレーニング(OJT)です。いろいろな仕事があるので、適材適所で仕事をしていただけるよう配属しております。また、先代の時代に全社で打ち出した企業の基本的な姿勢や経営理念を手帳にしたのですが、これに基づいて従業員全員が経営を意識し、同じ目標に向かって、組織としての夢と可能性を追求しています。特に、各部門のリーダー教育の一環としてコミュニケーション能力を高める教育にも力を注ぎ、より良い人間関係の構築を図っております。

今後の新しい事業展開はお考えですか。

ようやく新型コロナウィルス感染症が5類に移行になり、鉄道部門も自動車部門も、少しずつ回復傾向に戻りつつあります。このコロナ禍を経たことで、違う産業分野でも、われわれの知識、技量を生かせるものづくりを通じた形でいろんなことにチャレンジした新しい事業展開を考える大きなきっかけにもなりました。おかげさまで様々なお客様からのご依頼で、今年から全部で8つの新しい事業が動き出しています。

社長の目標や大事にされていることや喜びは何ですか。

この会社に関わっている従業員みなさんが昨日よりも今日、今日よりも明日と少しでも豊かな心で豊かな生活を送り続けられるようにこの会社を永続していくことが大切な目標だと思っています。従業員みなさんが、いきいきと働いているのを見ることができたときや今までとは違う適性や力を持っていることが分かったときや、それをきっかけに違う分野でも力を発揮してくれるのが非常に喜びとなっています。


インタビューを終えて

小野社長の夢は、「従業員一人一人が、昨日よりも今日、今日よりも明日、と日々、幸せになることです。」とお話をいただきました。そのために、従業員同士のコミュニケーションをとても大切にされているそうです。そのコミュニケーションが、会社の総力となって、よりよい座席作りの実現や、新しい事業展開につなげられているように感じました。「従業員一人一人が生み出すより良い仕事が、また新たなより良い仕事につながり続けています。」というお話が印象的でした。今後も従業員みなさんと共にお客様の要望に合う製品作りに期待しております。

住江工業株式会社(別ウインドウで開く)

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