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【働くキョウタナビト】株式会社大阪サイレン製作所 代表取締役社長 上岡 幹宜 さん

[2021年12月15日]

ID:75

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暮らしの中で、事故や自然災害等が起こったとき、私たちが、安心して生活を送ることができるのは、消防車や救急車等緊急車両が、一刻も早く現場に駆けつけて、隊員の方が処置してくれるからではないでしょうか。それは、緊急車両の「サイレン」が、鳴り響きながら周辺を警光灯が照らし、安全走行を可能にして現場へ到着できるからです。

京田辺市草内にある株式会社大阪サイレン製作所は、その救急車の「ピーポー」サイレンの生みの親として、暮らしの安全を守る消防や救急の現場で使われる「サイレン」をはじめとした製品を作る創業92年を迎える会社です。


代表取締役社長 上岡幹宜さん

代表取締役社長 上岡幹宜さんにお話をお伺いしました。

事業を始められたきっかけと会社を継がれた経緯を教えてください。

1929年、大阪で私の祖父が、手引きポンプという消防ポンプや機械加工、部品作りを行う「上岡製作所」を創業しました。その3年後、手回しのサイレンを作ったのが、今の「サイレン」の始まりです。創業当時、私の父(先代社長)は小学生でしたが、できた商品を乗せて、納品を手伝っていました。祖父が招集で戦争へ行ったので、父は、中学を中退して、会社を引き継ぎました。終戦後、父は、戦後の集団就職した約10人の社員を住み込みで雇う等、なんとか事業再開の準備をし、1951年、手回しサイレンを主力に再開し、1956年に大阪でサイレンを作り始めました。これが、「株式会社大阪サイレン製作所」として、会社を設立するまでの経緯です。その3年後に生まれた私は、自宅の中に工場があるので、小さいときから、ここが遊び場で、学校の工作等でも工場の機械を使い、会社がとても身近にある環境で育ちました。その為、強く意識することがないまま自然な流れで、会社を継ぎました。そして大阪の工場が手狭になった為、社員さんの通勤面等を考慮して1998年、京田辺市に工場を移転しました。

御社のものづくりについて教えてください。

創業当時は、手引きポンプという消防ポンプの作製や機械加工、部品作りを旋盤や穴開けのボール盤の機械を使った手作業で、職人さんが作っていましたが、戦後、時代の流れで、手回しサイレンから自動車のエンジンやモーターで回すサイレンになり、今では電子サイレンが主流になっています。3次元CADによる設計やコンピューター制御の機械による加工など機械設備等を整えて製品作りをしています。現在、当社のほぼ全ての製品は社内で企画、設計から製造まで行っています。製品開発の過程では、使用に耐えられるかの実験や、サイレンの音量などが法規制に適合しているかの試験も社内で行っています。このような工程を経た完成品を消防車メーカーへ納品しています。1990年から、車両用のシャッターの開発をはじめ、最近は、デザインの凝った車の増加に伴い、そのデザイン企画の段階から自動車メーカーさんとの共同開発を一緒にすることもあります。製品作りは、幅広い専門知識や技術の対応範囲が広いので、電気系や機械系の専門技術をもつ7名の社員が、協力会社さんと企画開発をすすめることもあります。専門的なスキルを要するデザインやソフト開発は長年お付き合いのある専門家に依頼することもあります。


設計開発をする様子の画像

設計開発

製造をする様子の画像

製造

実験をする様子の画像

実験

消防車や救急車のサイレンの完成まで、どのくらい期間がかかりますか。

大きさ等によって違います。短い期間のものは、1,2年くらいですが、長いものでは5年くらいかかるものもあります。使用期間は消防車で15年から20年、救急車で10年くらいで、こららの買い換え需要が中心になります。


製品を作られる上で大事にされていることや取引先との関係はどうですか。

お客さんとの信頼関係をとても大事にした製品作りを心がけています。お客さんは数十年お付き合いのある消防車メーカーや、消防車両に取り付けされた製品を実際に使用される全国の消防であり、そこからいただいた要望等を製品作りに活かすことを大事にしています。例えば、サイレンの「フェードアウト」機能も、一人の消防士さんの実体験で、救急で病院に運ばれたときに、急に大きく鳴っていたサイレンが急に切れるのは、とても心臓に悪いという声をいただいたおかげで、開発できました。また、コロナの流行前で観光地が外国人で賑わっていたとき、当地の消防本部の要望で、サイレンを鳴らしながら英語や中国語の音声放送で注意を促すという試験をして、高評価をいただきました。また、あってはならないことですが、製品のトラブルやクレ―ムについても、誠心誠意、社員一丸となって取り組んで対応し、次の製品作りに活かしています。そういった姿勢を評価していただき、お客さんとの信頼関係が繋がっています。


最後に今後の事業展開や抱負をお願いします。

全国で5~7割の消防車両で当社製品を採用していただいていますが、メーカーさんや消防さんのために対応しなくてはいけない課題がたくさんあります。

製品作りについては、まだまだ不十分だという認識が社内であります。その為、製品の企画開発もいっぱいの状態です。今後もお客さん等からいろいろな情報をいただき、より良い製品作りに取り組み続けたいと考えています。

海外については、消防車メーカーで車両に取り付けられて輸出されることはありますが、現時点では単独での海外展開は行っていません。

採用については、現在、43名の社員で、人員を見ながら必要に応じて採用をしていきたいと考えております。

今後も、お客さんや社員のためにも、引き続き、末永くこの業界で存在感のある企業として発展させたいと考えています。


警光灯の画像

警光灯(中央部にサイレン用スピーカーを内蔵)

電子サイレンの画像

電子サイレン

モーターサイレンの画像

モーターサイレン

車輌用シャッターの画像

車輌用シャッター

インタビューを終えて

上岡社長のお話から、戦前、戦後から長い取引のあるお客様や消防署の方との信頼関係を大事されているからこそ、より良い製品が企画、開発、製造されていることをお伺いできました。仕事で、やりがいを感じるのは、自社製品をお客さんに褒めていただくことや社員さんから、消防車や救急車に搭載されている自社製品を家族等と一緒に見て、「格好いいね。」と、褒めてもらえた話等を聞くときだそうです。

これからも、私たちが安全に暮らしていくために、人命や財産を守る製品作りを続けていただけることを期待しております。

株式会社大阪サイレン製作所(別ウインドウで開く)

お問い合わせ

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電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

ファックス: 0774-64-1359

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