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【働くキョウタナビト】(有)ロゴス 代表取締役 有馬 義高さん

[2021年7月12日]

ID:65

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 「香り」を表現するのに「香ばしい/芳ばしい」という言葉があります。

辞書には「ほんのり焦げたようないい匂いを表す形容詞」「食物を煎ったり、焼いたりした時の好ましい香りをいう」とあります。コーヒーを煎った時、ハンバーグを焼いた時、・・・。

「おいしい」という感覚は、食べ物を口に入れた時に舌で感じる「味覚」だけではなく、口の中に広がる「香り」が加わって生まれてくるもので、この香りを「風味」とも表現します。

京田辺市大住にある「有限会社ロゴス」は、燻製や炭焼きの「香り」がする液体や粉末を製造販売している会社です。

燻製とは、食材に木片(チップ)を熱して出る煙で燻すことで、食材の保存性を高め、燻製特有の風味をつける調理法で、代表的なものに、かつおぶし、ソーセージ、ベーコンなどがあります。


代表取締役 有馬 義高さん

代表取締役 有馬義高さんにお話を伺いました。

事業を始められた経緯、会社を継がれた経緯を教えてください

私は建築士で、父が食品会社から独立し、大阪にあった設計事務所内で仕事を始めることになりました。始めは会社設立の手伝いだけをするはずが、仕事の効率性を高めるために手書きからコンピューター管理への移行など食品会社の仕事を手伝うことが多くなり、次第に仕事がわかるようになると面白みを感じ始めました。もともと、私は燻製が苦手で、スーパーのスモークサーモンが不味く、こんな不味い物が仕事になるのかと思っていたのですが、「売るからには食べてみよう」と、いろんな食材を試作試食をすると、とても美味しく、そこから「スモーク」というものに興味が湧き始めました。その後、狂牛病(※1)等で消費者の食品添加物への不信感が広がり、海外から輸入していたスモークフレーバーも売上が半減しました。そこで食品添加物ではなく、燻製の香りがする食品原材を作れば、また使ってもらえるのではないかと思い、始めたのが粉末の燻製加工です。最初、小麦粉を敷き入れたバットをダンボールの中に入れ煙をたきましたが、小麦粉に全く匂いがつきませんでした。何か方法がないかと思い、様々な見本市や展示会を見て回り、見つけたのが回転ドラムです。機械メーカーまで自作の発煙機を持ち込み、テストを行いましたが、煙は上へ上へいく煙の特性をドラムの中に煙を止めることが難しく、さらにテストを繰り返し、ある一定の条件でドラムの中に煙がたまることを突き止め、それを実機化して、10年程前に「食品の風味改善方法」という特許を取得しました。

 ※1狂牛病:2001年頃。牛海綿状脳症(BSE)という牛の病気で、イギリスでBSEに感染した牛の肉骨粉を原料にした餌が他の牛へ与えられたことで世界中に広まった。

特許「食品の風味改善方法」を詳しく教えてください。

食材に燻製の風味をつけ、その原材料に使うことで、生臭さや獣臭を消すことができるというアイデアと、その燻製風味がついた原材料、食品原材料をつくる機械(回転窯)も含めて特許を取得しています。回転窯も私が設計したもので、ドラムに原料を入れて水平状態にし、ドラムに煙を入れ、回しながら煙を入れていくことで、ドラムの中の粉が回転を繰り返すことで、粒の一粒一粒に燻煙成分が付き、ムラができなくなります。

燻製用の回転窯

食品と建築士の仕事を平行されていたのでしょうか。

特許を取得した頃に、建築士の仕事から完全に手を引きました。CADが進み、マイクロチップで納品するようになると、同じような仕事の依頼が2回とないのに気づき始めました。私自身の不勉強もあった事、仕事に対する無知が招いた後悔もありましたが、これが転機でした。食品会社の仕事には、今まで培ってきた経験が何も役に立たないと思っていましたが、今は過去の経験が役に立っていると思います。食品ってアイデアひとつだと思います。安全性を確保した製品を作り、楽しく食べられるというのであれば、必ず売れていくというのがわかってきました。

燻製加工製品について教えてください。

最初は加工食品メーカーの新商品開発に携わり、コーンスターチを燻製して、魚の臭みを取るマスキング効果の役割をする原材料を作っていました。その後、展示会に出展していた時に、ナッツのメーカーの方と仲良くなり、燻製依頼がありました。元々は粉を燻製にしようと思った特許なので、ナッツを燻製にするとは予想もしておらず、今では、いろんな種類のナッツも燻製加工ができるようになり、ナッツの大手メーカーとの取引にも繋がりました。その辺から事業の中で燻製加工の割合が増加していきました。

リキッド製品は、事業の7割程度を占めています。ちょうどリーマンショックの頃、アウトドアブームが来ていて、当時手始めだったYoutubeで、醤油や油を燻製する動画を見た方から、液体の燻製依頼がありました。液体を美味しく燻製にするのは容易ではなく、試行錯誤を繰り返し、油も醤油、水などの液体も燻製できるようになりました。アメリカからリキッドを輸入しているのですが、自社で水を燻製するとリキッドになり、いろいろな原材料を燻製にしているうちに、スモークの目が肥え、ほとんどの原材料がスモークにできる、なんでもやりますって言う感じになっています。

クラウドファンディングで「大人の燻製クラフトポテトチップス」をプロジェクトされましたね。

最初、「燻製ポテトチップス」をやろうと話になり、どのぐらい反響があるのか全く分からない状態で始めました。意外と評判がよく、昨年12月に成立したのですが、トータルサポーターは600人、目標額は50万円に対して約4倍の200万円に達しました。流れは、クラウドファンディングサービスの担当者とプロジェクトの内容を検討し、その後スケジュールを決め、商品パッケージやプロジェクトページ作り、最初の設定金額やサクセス数を決め、それを超えることができなければ失敗になり、成功するとクラウドファンディングサービスのショッピングサイトで売ることができます。クラウドファンディングで出す手段があり、面白い物を企画して、消費者に訴えることができたら、想像以上に売れることがわかりました。その分、面白い企画を考え続けなければならないので、どこまでネタがあるかという感じなのですが、次のプロジェクトも考えています。

大人の燻製クラフトポテトチップス

今後の事業展開、目標は?

スモークはいろんな食材に使えます。ひとつのアイテムが終わっても、また次の食材に使ってもらえるので、今も3品4品ほど試作をしています。

今のところ、間近な目標でもあるのですが、直接消費者の方と繋がるものをある程度作っていき、お客様が楽しんで食べてもらえるものを作っていく、そういう会社であり続けたらいいのではないかな、と思っています。他社がやっていることを真似するのではなくて、他社がやってないことを掘り出してやっていくなかで、みなさんが食べて楽しんでもらえるものをこれからも提供できたらいいなと思っています。


すこし視点を変えるとそれがまた新しいチャレンジにかわる。有馬社長のお話は、アイデアに溢れるものでした。今後、小分け販売部門も拡充されるとのことです。燻製商品はいろんなお店でいろんな形の商品として手に取ることができますので、いつもの料理に一手間加えて、燻製風味はいかがですか。

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