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【働くキョウタナビト】「株式会社筑波製作所」代表取締役 辻塚 愛(まこと)さん

[2025年7月31日]

ID:123

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私たちの身のまわりには、目的や用途に応じて数多くの金属製品があります。中でもステンレスは、錆びにくく衛生的で保温性にも優れていることから、水回りやキッチン用品、また医療機器など広い用途に用いられており、身近な金属のひとつと言えるでしょう。

京田辺市大住の株式会社筑波製作所では、学校や研究所などで使用するステンレス製品の板金加工を幅広く手掛けています。

「株式会社筑波製作所」代表取締役 辻塚 愛(まこと)さん

株式会社筑波製作所 代表取締役 辻塚 愛(まこと)さん

株式会社筑波製作所 代表取締役 辻塚 愛(まこと)さんに お話をお伺いしました。

創業から現在までの経緯について教えてください。

ステンレスは、戦後の国民生活の安定成長に伴って急速に普及しました。特に高度経済成長期に公団住宅でステンレス製流し台が採用されたことは、私たちの生活に大きな変化をもたらしました。こうした時代背景の中、当社は1957年(昭和32年)に大阪市生野区で誕生しました。その後、事業拡大に伴って1981年(昭和56年)に京田辺市へ移転、工場と事務所を新設しました。

私は大学卒業後、遊園地の乗り物などの設備管理をしていたのですが、知人の紹介で1985年(昭和60年)に入社しました。その頃は厨房を中心に製造していたのですが、私にとってものづくりの現場は初めてだったこともあり、発見と刺激に満ちた充実した毎日でした。営業や設計など幅広く担当し、2012年(平成24年)に2代目社長に就任しました。創業からまもなく70年を迎えます。


はじめに、ステンレスの特徴について教えてください。

ステンレスは、鉄を主成分とし、クロムやニッケルを添加して錆びにくくした合金です。鉄に比べて、

・錆びにくく耐久性が高い

・清潔に保ちやすく衛生的

・耐熱性と耐低温性に優れている

などの特長があるため、医療施設や研究所をはじめとして避難所などにも利用されています。

ステンレスの種類は、JIS規格で70種以上、海外規格品も含めると200種類以上と非常に多くの種類があります。当社では、鉄74%、クロム18%、ニッケル8%を含んだ「SUS(サス)304」という種類を主に使用しています。

事業内容について教えてください。

当社では、各種ステンレス製品の精密板金加工を行っています。

大きく分けて

 ・研究所や研究室などの研究設備

 ・病院や歯科医院の医療機器

 ・調理台や実験器具などの学校設備

の分野で事業展開しています。

 

 

【製品事例】

1 研究設備

研究室の引出付作業台

2 医療機器

点滴処置台
病院のナースステーションなどで点滴の袋を吊り下げて用います。

3 学校設備

調理台

実験台

保温庫

製造工程について教えてください。

1 プログラムの作成

 お客様からのご要望をもとにプログラムを作成します。

2 シャーリング

 製作に必要な寸法に材料を切断します。

3 タレットパンチプレス

 1で作成したプログラムデータをタレットパンチに移し、素材を打ち抜いて加工します。


4 ブレーキプレス

 素材を圧力で図面寸法のとおりの角度や円形に曲げて、立体型を完成させます。


5 溶接

 4で曲げた立体型のコーナー部や接続部分を溶接します。

6 研磨

 グラインダーをかけて表面を磨き、次に溶接箇所を研磨して完成です。

得意とする技術やこの仕事の魅力について教えてください。

金属はその特性によって取扱方法が違うので、製造にあたってはやはり特別な技術が必要です。中でも、ステンレスは、溶接する際にひずみが出やすいため、鉄と比較すると見た目の出来栄えが一目で分かりやすく、扱いが難しい素材です。そのため、熟練した職人にしかできない仕事が数多くあります。日本のステンレス製品は、ドイツやアメリカなど欧米の製品に比べて薄いステンレス素材が用いられています。板厚の厚い方がひずみが目立たず溶接も楽なのですが、日本人の器用さや加工技術の高さによって、薄い材料を加工し、すっきりとスマートなデザインの製品を生み出すことができています。当社でも0.8㎜から1.5㎜の薄いステンレス板から各種製品を製造しています。

 

先代は、ものづくりに対するこだわりと熱意を持った人で、「自分が満足できない品物を世に出してはいけない」「ものづくりにおいて妥協してはいけない」とよく話していました。この先代の思いは、現在でも私の心に沁みついています。技術を身につけるためには、相当の努力と時間が必要ですが、職人達も技術を研鑽すべく、日々励んでくれています。当社は小ロットでの発注が多いため、流れ作業で同じ作業をこなすのではなく、日々異なる作業を行います。ですから、新鮮で飽きることがなく、ものづくりの好きな人にとっては、大変おもしろい仕事ではないでしょうか。

 

従業員数や部署について教えてください。

製造と営業の2部署があり、私を含めて社員は6名です。年代は、20代から30代と若手が中心となっています。若い職人は飲み込みが早く、良い製品を生み出す力を持っているなと感じます。失敗してもそれを生かして工夫するので、昨日より今日、今日より明日と進歩し、良い製品を生み出せていると自負しています。

業務が重なった時には当社のベテランOBが助っ人として手伝いに来てくれるので、大変心強いです。それぞれの部署が重要な役割を担っていますが、相互にフォローが出来るような体制作りに努めています。

人材採用と社員教育について教えてください。

採用にあたっての細かな制限等はありません。製造の経験がなくても、先輩職人が指導に当たるので、心配はいりません。根気強く前向きに努力できる人を求めています。


社長の大切にされていることについて教えてください。

私たちの人生は、家族や友人はもちろんのことお客様や仕事仲間など多くの人との出会いの連続です。たとえ毎日同じ人と同じ場所で出会いを重ねても、同じ日同じ時間は二度と訪れず、戻ることもできません。若い頃は、頭では分かっていながらもあまり実感がありませんでしたが、近頃は有意義な人生を過ごすためには、出会いの瞬間を大切に、誠意と感謝の気持ちを持って向き合うことが大切だと感じています。まさに「一期一会」という言葉の意味するところです。

 

今後の抱負をお聞かせください。

「一期一会」の気持ちを大切にすることは、人とのつながりを生み、仕事のネットワークをも広げてくれるのではないでしょうか。この思いを大切に、先代からの「手を抜かないものづくり」の姿勢を忘れぬよう、これからも皆様に喜んでいただける高品質の製品を送り出していきたいと思います。

そのためにも、職人の技術を絶やさないよう、若手の育成にも力を入れながら次の世代へ末永くつないでいきたいと考えています。


【社内の様子】

現場スタッフ紹介

(製造部 西面(さいめん) 武士(たけし)さん 38歳 入社13年目) 

どうすればもっと上手くいくだろうと日々試行錯誤を重ねながら業務に取り組んでいます。

「考えるものづくり」がこの仕事の魅力です。これからも技術を向上させ、後進を育成して当社を盛り上げていきたいと思います。

インタビューを終えて

私たちにとって身近なステンレス製品、その加工の様子を興味深く拝見しました。

高品質の製品を生み出すための「手を抜かないものづくり」への思いを大切に、今後も社員のみなさんとともに益々飛躍されますことを期待しております。



お問い合わせ

京田辺市役所経済環境部産業振興課

電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

ファックス: 0774-64-1359

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