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【働くキョウタナビト】「株式会社ニチダイ」代表取締役社長 伊藤 直紀 さん、硬式野球部監督 山口 篤史 さん

[2025年10月7日]

ID:126

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京田辺市薪にある株式会社ニチダイでは、長年培われた高度な技術を駆使して自動車部品用金型や精密部品をはじめロケット用にフィルターにわたるまで、幅広い分野で私たちの暮らしを支える製品を製造されています。

また、同社硬式野球部では、少年野球チームや中学生を対象とした野球教室を開催するなど地域とのつながりを大切にした活動にも取り組まれています。

 

株式会社 ニチダイ 代表取締役社長 伊藤 直紀さんと 硬式野球部監督 山口 篤史さん

株式会社ニチダイ 
代表取締役社長 伊藤 直紀さん(左):2021年(令和3年)社長就任
同社硬式野球部監督 山口 篤史さん(右):選手として8年間活躍したのち、兼任コーチ1年、専任コーチ1年を経て、現在は監督として4年目

株式会社ニチダイ 代表取締役社長 伊藤 直紀さんと硬式野球部監督 山口 篤史さんにお話を伺いました。

創業から現在までの経緯について教えてください。

1959年(昭和34年)に大阪市北区で田中合金製作所として創業しました。当時、当社製品の加工に不可欠でありながら海外製が主流で、また高価であった放電加工機の製造に成功し、製品力を飛躍させたことが成長の契機となりました。1967年(昭和42年)に寝屋川市に新工場を建設し、社名を現在の「株式会社ニチダイ」に変更しました。この社名は、創業者の「海外展開を見据え、日本で一番の金型メーカーを目指す」との強い思いから、日本を意味する「日(ニチ)」と金型を意味する「Die(ダイ)」を組み合わせて「ニチダイ」としました。

1971年(昭和46年)に京田辺市に本社を移転し、新工場を完成させました。1988年(昭和63年)には宇治田原工場も竣工し、技術の追求と事業の拡大を継続してきました。現在は、世界のお客様のニーズに対応すべくタイにも拠点を展開し、製品の安定供給に努めています。

私が入社したのは、2016年(平成28年)で、特に新事業開発部の立ち上げに力を注いできました。


本社

京田辺工場

宇治田原工場

事業内容について教えてください。

当社では、精密鍛造技術を核として次の3つの分野で事業展開しています。

1 金型事業

自動車部品を一発のプレスで複雑な形状に成形できる量産用の鍛造金型を開発・製造しています。エンジン、トランスミッション、エアコン部品などに用いられる金属製部品の成形に対応しており、国内外の自動車メーカー・部品メーカーに採用されています。また、当社独自の開発支援・生産管理システムを活用し、お客様のニーズに最適な鍛造技術を提案しています。主要な取引先は、国内外の自動車メーカーで、各種部品を安定的に供給しています。

※冷間鍛造:常温(もしくは常温に近い状態)の金属を加圧・打撃して成形する工法。

精密鋳造金型

2 精密部品事業

長年培ってきた鍛造に関わる技術を駆使して、精密鍛造品を量産しています。また、自社工場には自動化された高品質な組み立てラインも完備しており、部品の製造から組み立てまで一貫した生産体制で対応しています。

 

※スクロール:精密かつ滑らかな動きを実現する回転部品です。
弊社独自の加工技術により、高い耐久性と安定性を兼ね備え、カーエアコンコンプレッサーとして採用されています。

※ターボチャージャー:エンジンから抽出された排気ガスのエネルギーを利用し、圧縮した空気をエンジンへ送り込み高出力を得る装置。 自動車の燃費向上と排ガス削減に役立ちます。

3  フィルタ事業

積層焼結金網フィルター(ステンレス製の金網を焼き固めた多層構造フィルター)を製造・販売しています。このフィルターは、高精度のろ過技術と優れた耐久性を兼ね備えており、食品・医薬品・空調設備・宇宙産業まで、幅広い分野で使用されています。お客様のニーズに応じたカスタム設計にも対応しており、国内外の産業界から高い評価を得ています。

ロケット部品の開発は1980年頃から行っており、昨年打ち上げられたH3ロケットにも採用され、その功績によりJAXAから表彰されるなど、確かな技術力が認められています。

※ステンレスの金網を重ねて焼結し、様々な形に加工します。

受発注の流れと製造工程について教えてください。

3事業では、それぞれ製造プロセスは異なりますが、お客様ごとのニーズに合わせた受発注体制は一貫しています。製品ごとにお客様と協議を重ねて最適な原材料を決定し、その後、適切な原材料や部品を調達して生産に取りかかります。各工程においては、品質・納期・コストを最適化するための生産管理体制を整備し、確実な製品供給を実現しています。

製造ライン

御社の強みは何でしょうか。

1 トータルエンジニアリング力

金型メーカーは顧客の図面に基づいて金型を製作することが一般的ですが、当社は単なる金型製作にとどまらず、設計・開発段階から量産までを一貫して担う総合技術力(トータルエンジニアリング力)を有しています。研究開発、試作、製造ラインの構築、量産受託まで、顧客のニーズに応じたワンストップ対応が当社の強みです。

2 技術開発力

自社主導での開発に加え、お客様からの受託開発や共同開発にも積極的に取り組んでおり、さまざまな分野における鍛造化の実現を推進しています。

現在は、金型の状態を見える化する「鍛造DX」と名付けた開発を行っています。「鍛造DX」とは、従来の熟練技術者の経験に依存していた鍛造工程をデジタルデータの活用により管理・解析して可視化することで、熟練者でなくても不良発生の予知を行い、金型の寿命の予測を行うなどして品質の安定と生産性向上を図るものです。この「鍛造DX」は、多くの企業から共同開発の依頼を受け、業界から表彰されるなど高い評価を得ています。昨年から、国内大手自動車会社との開発協力体制を築き、ビッグデータを活用して、さらなる開発を推進しています。


硬式野球部設立の経緯を教えてください。

硬式野球部は、創業者・田中善昭の「社会人野球チームを持ちたい」という強い想いから1997年(平成9年)に設立されました。単なる競技チームではなく、「仕事と野球の両立」を前提としたチームづくりを目指し、部員全員が早朝からフルタイムで勤務し、その後に練習に取り組むというスタイルを今も変わらず守り続けています。

設立当初はなかなか結果が出ない時期が続きましたが、努力を重ね、2004年(平成16年)に初の全国大会(日本選手権)出場を果たしました。さらに2005年(平成17年)には2年連続して日本選手権に出場、2006年(平成18年)には都市対抗野球大会にも出場しました。そして2012年(平成24年)の日本選手権で、念願の全国大会初勝利を挙げました。2013年(平成25年)の都市対抗野球大会では、京田辺市からバス20台を貸し切り、地域の皆さまをご招待して応援にお越しいただきました。これからも、地域の皆さまに支えられていることへの感謝を忘れず、「地元に根ざした企業チーム」として再び皆さまと全国の舞台を目指せるよう、仕事と野球の両立に全力で取り組んでまいります。

 

山口監督(左)と丹羽(にわ)美颯輝(みさき)主将(入社8年目)(右)

山口監督(左)と丹羽(にわ)美颯輝(みさき)主将(入社8年目)(右):選手からの信頼も厚いチームの中心的存在。
「都市対抗野球大会・日本選手権大会に出場し、社員をはじめ地域の皆様と共にドームで戦えるよう日々精進しております!」   

野球部の皆さん

仕事と野球の両立はどのようにされているのでしょうか。

創部以来、野球部には「野球を通じて大手企業に立ち向かい、勝利を収め、社内に活気をもたらすこと」をという使命感が受け継がれています。部員は勤務時間(6:30〜15:15)を終えた後に練習に励み、都市対抗野球大会や社会人野球日本選手権への出場を目標に、日々全力で取り組んでいます。大会期間中にはYouTubeでのライブ配信やリアルタイムの一球速報もあり、社内を挙げて応援してもらっていることを実感しています。社員をはじめ地域の皆さまのご支援に支えられ、野球部一同、感謝と誇りを胸にこれからも活動を続けていきたいと考えています。

練習風景

地域への働きかけも積極的にされていると聞きました。

ニチダイ野球部は、「野球活動を通じて、活力ある企業グループの創造と、地域貢献ならびに社会人野球の発展に寄与すること」を活動の目的としています。社会人野球チームを持つ企業として、地域貢献活動を重要な使命と捉え、企業チームであると同時に本社のある京田辺市の代表としても活動を行っています。これまでの少年野球チームを対象とした野球教室の開催、環境活動「クリーンアップ京田辺」や市内企業の体験イベント「シゴトニア」への参加などさまざまな地域活動を行ってきました。さらに今年からは新たな地域貢献の一環として、市内の中学校への出張野球教室をスタートしました。技術指導だけでなく、「夢を語る時間」を設けて生徒たちと真剣に向き合う交流を行いました。生徒からのお礼の手紙は、私たちにとって何よりの励みとなり、「やってよかった」と心から感じる瞬間でした。これからも地域の皆さまに喜ばれ、必要とされる存在であり続けられるよう、様々なアイデアを出しながら地域貢献活動にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。     

野球教室

シゴトニア(ストラックアウト)

清掃活動

従業員数や部署について教えてください。

本社、京田辺工場、宇治田原工場を合わせて、金型事業約250名、精密部品事業約60名、フィルタ事業約80名、管理部門(総務・経理など)約30名となっており、このほかに国内営業所と海外拠点を含めると600人を超える人材が働いています。

人材採用について教えてください。

激しく変化する現代社会に対応できるよう、社員の挑戦を歓迎する仕組みづくりに力を入れています。社員が自らチャレンジし、成長してキャリアを築くことが会社の成長にも直結すると考えています。技術力を強みとする当社では、ものづくりにこだわり、自らの頭で考えられる人材が必要です。現在、DX化を進めてはいるものの磨き作業などは今なお手作業によって数ミクロン単位の高精度の加工を行っており、業界団体から匠賞をいただく社員もいます。こうした職人の技術もしっかり守り、末永く引き継いでいきたいと考えています。


社員教育について教えてください。

新入社員研修をはじめ、階層別研修や専門スキル研修などを通じて、社員の成長とキャリア形成を支援しています。自ら考え、自分の現在の役割にとらわれることなく枠を越えて挑戦できるよう、研修プログラムを組んで毎年ブラッシュアップしています。また、現場でのOJTや外部研修への参加機会の提供など、実践的かつ継続的な教育体制を整えて支援しています。

脱炭素社会の実現に向けた取り組みについて教えてください。

当社では、経営戦略において「持続可能な社会の実現への貢献」を重要な柱の一つとして掲げています。当社の中核技術である冷間鍛造は、金属を切削せずに成形する製法であるため、廃棄物の発生が極めて少ないのが特長です。さらに、素材を常温のまま加工できることから、加熱工程が不要でエネルギー消費が抑えられ、結果としてCO₂排出量の削減にもつながっています。これらは、環境負荷の低減に大きく寄与する技術として、高く評価されています。また、太陽光発電設備の導入や工場におけるエネルギー管理の徹底など、再生可能エネルギーの活用にも取り組んでいます。


今後の事業展開や展望をお聞かせください。

顧客満足度(CS)・株主満足度(IS)・社員満足度(ES)を最大限に実現し、永続的に向上させていくことで、新たな価値を創造し、社会に貢献できる企業を目指しています。オンリーワンの技術を追求するプロフェッショナルとして、新たな価値を創造し、「選ばれる企業」「信頼される企業」であり続けられるよう、努力を続けたいと考えています。これからも地域の皆様と交流を深めながら、地域の活性化や未来の人材育成に貢献できれば嬉しいです。

インタビューを終えて

自動車から宇宙産業まで幅広い分野で暮らしを支える技術と製品を提供するための努力と取り組み、また大企業として地域とのつながりを大切にした活動について伺うことができました。

野球部の練習風景も実際に拝見し、選手の皆さんの全国大会を目指す真剣な姿勢を感じることができました。会社、硬式野球部ともに益々飛躍されますことを心より期待しております。

 ※市民ロビーに野球部ユニフォームと製品を展示しています。市役所にお越しの際は、是非ご覧下さい。


お問い合わせ

京田辺市役所経済環境部産業振興課

電話: (産業支援)0774-64-1364(商工観光)0774-64-1319

ファックス: 0774-64-1359

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